『どろんこハリー』や『エルマーのぼうけん』の翻訳者で、くまたくんの絵本や『しょうぼうじどうしゃじぷた』などの作者である児童文学者の渡辺茂男さんの自伝が、児童図書館研究会から発行されました。渡辺さんの自伝といえば、創作童話として長く愛された『寺町三丁目十一番地』(福音館書店/品切れ重版未定)を思い出す方も多いと思いますが、この本は1989年8月~10月にかけて静岡新聞に連載されたもので、幼少期からアメリカ留学までの時期について書かれ、『寺町~』を補完する内容となっています(渡辺茂男さんは静岡県出身)。新聞記事のほかに刊行図書リストや略年譜もついているので、読み物としてだけではなく第1級の資料としても貴重な本です。そして、渡辺茂男さんのご長男・渡辺鉄太さんのあとがきも掲載。子どもの本に関わる方必読の1冊となっています。
新聞記事というのは、過去のものをまとめて読むことも手に入れることも難しくなる媒体です。このような形でまとめてくださった、児童図書館研究会・静岡支部の皆様に感謝したいと思います!

鉄太さんはあとがきに「これを読んで渡辺茂男はこんな生い立ちをしたのかと驚かれた方もあったかもしれません。そんな発見があれば、この冊子が出た甲斐があったというものです。」と書かれています。作品を通して渡辺茂男さんのファンになった方も多いと思いますが、どのような子ども時代・青春時代を過ごされたのかを知ると、そこには渡辺さんが手掛けられた子どもの本に通底する思いを感じることができるでしょう。一般には手に入りにくい書籍ですので、ご希望の方はご遠慮なくナルニア国までご連絡ください。遠方の方には発送も承っております。

『わが青春 渡辺茂男、静岡から米国までの旅』渡辺茂男 著/児童図書館研究会 825円(税込)

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