ベスト 👍 ノンフィクション
『僕には鳥の言葉がわかる』
鈴木俊貴 著
小学館 刊
2025年1月28日 発行
1870円(税込)
263ページ
対象:中学生から
シジュウカラ語を解き明かすまでの鳥愛あふれる日々!
今、巷で話題の1冊なので(テレビや新聞で何度も取り上げられていますね)「何を今さら…」と言われるかもしれませんが、紹介したいのです!
生きものの中で言語を操れるのは人間だけ、と古代ギリシャの時代から決めつけられてきました。しかし、それを根底から覆す研究の成果が本書。20年近くの年月をかけた地道な研究の日々を綴ったエッセイです。
人の暮らしの身近にいる小鳥シジュウカラの鳴き声のレパートリーが豊富なことに疑問を抱いたことから研究は始まったそうです。大学3年の冬、軽井沢の森での偶然出会った鳥たちの光景がそれを後押ししたとか。
コガラが鳴いているところへ、シジュウカラやヤマガラが急いで飛んでいく。彼らを追っていくと、そこにはヒマワリの種がまかれていた! 仲間を呼ぶために鳴いていた!?
そしてシジュウカラを観察しはじめ1週間の滞在中、80ページもあるノートを2冊も使い切っていたそう!
それから軽井沢の森を拠点に1年のほとんどをシジュウカラを観察する日々が続きます。ひたむきに、まっすぐにシジュウカラに向き合う姿は、時にコミカルでありつつもかっこいい!
その積み重ねから常識とされてきたことをひっくり返すに至るって、尊敬しかありません。高校生のころ生物部・鳥班として活動していたけれど、鳥語があるとはちょっとも考えなかったなあ(笑)。
新しく「動物言語学」という学問を切り拓いた軌跡が綴られています。本書は初の単著。数年前にオンラインイベントに参加したことがありますが、早く本を書いてくれないかなと思っていたので、本書の刊行は本当に嬉しい限りです。今後の活動にも注目したいですね。
本文中のイラストはすべて著者によるもの。その描線からも「小鳥になりたい」という著者の鳥への深い愛を感じます❤ ふふふ。
巻頭にカラー口絵、巻末にはシジュウカラの鳴き声(言葉)が聞けるQRコードつき。
一般書として刊行されていますが、興味があれば中高生にも読めちゃう体裁です。何かを始めることの尊さみたいなものも感じます。
生きもの好きにはぜひぜひ読んでほしい!
山際寿一さんの帯の文言に「現代のドリトル先生」とあるけど、まさしくその通り!
なんだか元気がでてくる1冊です。 (す)
★ご注文、お問い合わせはお電話、Fax、メールにて承ります★
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メールでのお問い合わせは下記のフォームからどうぞ。