ベスト 👍 ノンフィクション
『詩人なんて呼ばれて』
谷川俊太郎 語り手・詩
尾崎真理子 聞き手・文
新潮社 刊
2024年8月1日 発行
605ページ
1045円(税込)
対象:大人

92歳、詩人の素顔ーー2024年、最新の肉声を収録!

2017年に刊行された本を増補・改訂し、文庫化した1冊。この大著を気軽に手にすることができるようになったとは嬉しいことです!

18歳で代表作「二十億光年の孤独」を発表し鮮烈なデビューをした谷川俊太郎。今や、彼のことを知らない人はいないと言っても言い過ぎではないはずです。
子どもから大人まで広く知られる詩人に肉迫したのは、『秘密の王国 評伝 石井桃子』(新潮社)の著者。新聞社の文化部の記者という経歴がいきた視線を感じます。
70年以上にわたる詩作について赤裸々に語り、その人生の軌跡を追います。聞き手のどんな問いにも淡々と受け答えする姿は、なんともクールな印象を受けます。

2015年3月から2017年8月にかけて17回(!)にも及ぶインタビューをもとに構成されています。答えるほうもだけど、聞くほうも体力いるな~と単純に思いました。その濃密な時間が行間から伝わってくる力作です。
文庫化に際し、第6章を書き下ろしているので単行本を持ってる方も、ぜひ本書を手にしてほしいです。かくいうわたしも、そんな一人です(笑)。

詩の背景を知ることで、作品を深く味わうことがでいるはず。これは大人ならではの楽しみかたです。革新的でありながら、国民的と称される詩人の姿を知ってください。
「七年後、第7章を新たに書いて、満百歳をお祝いすることを楽しみにしています。」と“おわらないおわりに”で書いている尾崎さんの言葉に大いに賛同します。7年後が楽しみです! (す)

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