ベスト👍 『台湾の少年1 統治時代生まれ』『台湾の少年2 収容所島の十年』
游珮芸、周見信 作
倉本知明 訳
岩波書店 刊
2022年7月7日 発行
定価各2640円(税込)
1:169ページ、2:189ページ
対象:高校生から
激動の現代史を生き抜いたある個人の生涯を描く、台湾発のグラフィックノベル!
距離的にはとても身近な国、台湾。最近では台湾グルメも話題になったりして、観光に行く人も多いのではと思います。コロナの影響で簡単ではなくなっているのでしょうが……。
そんな台湾の現代史を描いたグラフィックノベルが登場しました!
日本との関りも多い国でありつつ、読んでみて、びっくりするくらいなあ~~~んにも知らないことに驚愕しました。
まず固有名詞がほとんどわからない!
岩波書店から2018年にアメリカの公民権運動を描いたグラフィックノベル『MARCH』全3巻が刊行されています。やはり歴史を描いたもので、そう簡単ではないけれど、キング牧師とか、ジム・クロウ法とか詳しくはなくともうすぼんやりとでも見聞きしている事柄がありました。が、時代も距離も近い台湾のことは……さっぱり!
日本の統治時代の台湾、台中・清水に生まれた祭焜霖(さいこんりん)を描きます。子どものころから読書好きで成績優秀だった彼は、教育者になることを夢見ます。しかし時代がそれを許しませんでした。
戦後の白色テロの時代に政治犯として逮捕され、収容所島で10年もの歳月を過ごすことになるのです。
台湾の現代史を知ることのきっかけになるシリーズ。
グラフィックノベルーーコミック形式なので、比較的読みやすいです。歴史的事実も固有名詞も知らないことだらけ(また言う…!)だけど、ぐいぐい引き込まれます。
それは質の高い絵のため、と思われます。巻ごとに描き方(絵のタッチ)を変え、表現として内容と見合っているように感じました。
1巻に差し込みの訳者による解説が入っていますが、これも必読です。しかし、これまた読んでも「?」が多い。少しずつ勉強しなくちゃいけないですね。
この本をきっかけに台湾のことを知っていけたら、と思います。台湾にルーツをもつ作家温又柔の背景にもつながるのかな、とも。彼女の作品も改めて読み返したいものです。
さらに3,4巻が9月に刊行される予定です。続きもきちんと読みたいです。 (す)
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