ベスト👍 ノンフィクション
『僕の仕事は、世界を平和にすること。』
川崎哲 著
旬報社 刊
2023年6月 発行
定価1760円（税込）
177ページ
対象：中学生以上
職業：平和活動家「僕たちは、戦争という病気を治す医者なんだ」
“世界を平和にする仕事をする人”と聞いて、あなたはどんな人物を想像しますか？ 大きな国のリーダーやガンジーのような偉人、または国連職員など――いずれにしてもそんな大それた仕事は自分には関係ないと思う人が大半ではないでしょうか。本書の著者・川崎哲さんは、市民として長年平和活動に従事してきた経験から、普通の人でもできる“世界を平和にする方法”のヒントを若い人たちに向けて記したのが本書です。
川崎さんは現在、NGOピースボート（船に乗って世界旅行をしながら、各地で社会問題や平和について考えるプログラムにも参加できる）の共同代表で、2017年にノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン（ICAN）」の国際運営委員・会長を務めています。
若いころにはバックパッカーとしてアジアや中東を旅したり、大学時代は世界の格差・貧困、日本の公害論などを学びました。常に、大きな力によって虐げられながらも、そこで戦う人たちに目が向けられていたことが、のちの平和活動につながる意識の根底にあるように感じられます。日本を飛び出し、自分の目で世界の様々な問題に触れ、人々と実際に交流しドキドキ・ワクワクした体験が、川崎さんの前に進む気持ちを支えているのです。
第３章で紹介される「世界を平和にするために僕が大事だと考える13のこと」は、大それた理想のように聞こえる“世界平和”も、個人の日々の行動や考え方によって達成できることに気づかせてくれます。裏を返せばそのような地に足の着いた永続的な努力なしに、世界の平和は成し得ないことを教えてくれるのです。
さぁ、私たちも自分のできるところから「世界を平和にする仕事」を始めてみましょう！（か）
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