ベスト👍 ノンフィクション
『偶然の散歩』
森田真生 著
ミシマ社 刊
2022年9月23日 発行
定価2200円(税込)
234ページ
対象:大人
偶然の日々の中で、一度きりのすぐ近くにある、永遠をつかみたいーーその思いを胸に、つづられ、あふれでてきた、詩のような言葉たち。
2017年夏から半年をかけ連載された日経新聞「プロムナード」全25回を軸にまとめられた、独立研究者として活動する著者の最新エッセイ集。いちど読んだことのある文章も、こうしてまとまると新たな印象が芽生えるから不思議です。
子どもたちと過ごす日常の中にある発見ーー時には先人との、はたまた人以外の生き物とのーーを綴ります。それは一見、他愛もないことだったりしますが、一瞬のきらめきを持っているのです。それは著者が子どもたちと共に過ごす時間のなかで、自身の子どもを生き直しているように感じます。これって誰にでもできるようで、なかなか難しいことと思います。
「おさんぽいこう! という子どもたちの声を、遠い記憶として、思い出す日が来るのだろうか。忙しく、疲れていて、散歩どころではないときに、散歩の誘いを何度も断ってしまったことを、そのとき僕は悔やむのだろうか」
「一度きりと永遠は、どうしてこんなに似ているのだろうか」
印象的な言葉がたくさん詰まった1冊。開くたびに違う箇所にハッとしそうです。
…他にも気に入った一文があったのに、紹介しようとページを繰っても、全くたどりつかない~(汗)。
そして造本もとてもステキ! 何種類もの紙を1冊にまとめているのですが、違和感なく読めちゃいます。束で見ると確かに「こんなに違う!」と感じられるのに、読んでいる時はびっくりするくらい気にならない! 表紙のデザインも凝っています。カバーを外してみてね。
モノとしての本の価値も高いのです。 (す)
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