ベスト👍 ノンフィクション
『センス・オブ・ワンダー』
レイチェル・カーソン 著
森田真生 訳とそのつづき
西村ツチカ 絵
筑摩書房 刊
2024年3月25日 発行
1980円(税込)
182ページ
対象:高校生から

世界的ベストセラーの新訳、さらにその未完の作品を、いま京都から書き継ぐ!

レイチェル・カーソンの名著『センス・オブ・ワンダー』の新訳が、京都で活動する独立研究者の森田さんの手により刊行されました! その経緯はPR誌「ちくま」に掲載され、本書にも「そのつづき」として収められいます。それは森田さんがふたりの子どもと共に過ごした日々の記録でもあります。

数学する身体』(新潮社)で鮮烈なデビューをした頃の文章と同じ人が書いたのかと思うほど、「そのつづき」の文章は穏やかで、日々の暮らしのなかの驚きや発見に満ちています。とっても親近感が湧いてきます。とはいえ、自然と向き合うところからの考察は鋭い!
森田さん自身が子どもと共に自然に触れながら、学び直し、生き直しているかんじです。素直に生きものに触発されている様は感動的でもあります。ご自身は子どもの頃あまり生きものに触れなかったそうなのですが、そのリアクションが自然体で好感がもてる。なんだか共通言語を持てた気になって、わたしは嬉しくなりました。

翻訳に関しても上遠さんの訳とはもちろん違うけど、決して奇をてらったかんじではなくすっきりと読めます。『センス・オブ・ワンダー』は佑学社から1991年に刊行され、その後新潮社から新たに刊行されて長く読まれている本です。それは美しい写真も味わえるもので、そのイメージが強いです。一方、本書は西村ツチカさんのイラストを使用していますが、これはこれで(失礼な言い方になってしまってごめんなさい!)とてもステキです。表紙のカバーを外したかんじとか、見開きのイラストの雰囲気がいいです。ブルーが印象的。

読み終えて思ったことは、誰もがカーソンやロジャーになれるのだな、ということ。生きていることの喜びをしみじみ感じられる1冊です。これからまた幅広く読まれるといいな、と心から思います。ぜひ、手にしてみてください。きっと日々に発見があるはずです。  (す)

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