ベストノンフィクション
『遠くの人と手をつなぐ』
千葉望 著
理論社 刊
2023年7月 発行
定価1430円(税込)
161ページ
対象:中学生から
心のポケットに突っ込んだままの手を出して、伸ばしてみて下さい
子どもの7人に1人は貧困状態にあると言われる日本。
必要な食事や医療、学習環境、将来への展望が与えられない状況を前に、子どもたちによりよい環境を作ろう、助けたいと思っている人たちがたくさんいます。本書は、困っていたら声を上げることをためらわないでほしいという著者の思いのもと、子どもたちのために必死に活動をし、手を差し伸べている現場を取材した1冊です。
2023年のあいだに中学校の数を超えるとさえ言われる「こども食堂」。その数の多さは問題であると同時に、それだけ「困っている人を助けたい人が多い」ことのあらわれでもあるといいます。
また、「貧困」とはお金や物が不足していることだけを指すのではなく、人とのつながりが足りないという意味での貧しさもあるとされています。
そこで大切になるのは、親や先生以外の信頼できる大人がいること。その存在によって未来が開かれた子どもの実情は、著者の取材を通して知ることができます。
本書からは、声を上げることの大切さ、そして勇気を持って一歩を踏み出すことの重要さ、さらには積極的に知りに行くこと(情報を得ること)の必要性に気付かされました。本の巻末には、支援活動を行っている団体や行政窓口へのアクセス方法がまとめられています。アクセスをすることも、大きなはじめの一歩ではないでしょうか。
著者はこう言っています。「心のポケットに突っ込んだままの手を出して、伸ばしてみて下さい」と。アクセスした先で、手を差し伸べているだれかと、手を繋ぐことができるかもしれません。(み)
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