ベスト👍 絵本
『わらってよ ピッコ』
ルイス・スロボドキン 作・絵
こみや ゆう 訳
福音館書店 刊
2022年10月 発行
定価1430円(税込)
32ぺージ
対象:幼児から
かなしそうなポニーのために子どもたちが立ちあがった!
ピッコはイタリアの小さな公園で子どもたちを乗せたカートを引くポニーです。公園にはピッコのほかにロバが3頭いて、子どもたちにはそちらの方が人気でした。なぜって? ロバはゆっくり歩いてくれるのに、ピッコはいつも駆け足であっという間に公園を一周してしまうからです。
ある日のこと、ピッコの悲しそうな様子が気になったアルフレッドとジーナの兄妹は「なにかほしいものがあるのかもしれない」と、おいしそうなにんじんやりんご、花やおもちゃや絵本までピッコのもとに運んでいきますが、それでもピッコは悲しげな顔は変わりませんでした。数日間、あれこれと考え続けた二人がピッコのためにやったこととは―――。
途中までは大人にとっても予想できる展開です。ところがアルフレッドとジーナがピッコを笑顔にするためにとったのは、大人ではとても思いつかない驚きの行動でした。聞いている子どもたちもきっと最初はびっくりしても、ピッコと同じように嬉しい気持ちになるに違いありません。
誰かを幸せにするために何かをしたい―――それはおそらく人間の根源的な欲求です。そのことを微塵の説教臭さもなく、楽しくユーモアいっぱいに描いたスロボドキンは何と素晴らしい作家でしょうか。この本が持っている真面目とユーモアの絶妙なバランスこそ、子どもたちに味わわせてあげたい物語の真髄だと感じました。(か)
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