ベスト👍 ノンフィクション
『それでも、世界はよくなっている』
ラシュミ・サーデシュパンデ 著
神田由布子 訳
亜紀書房 刊
2022年6月 発行
定価1980円(税込)
176 ページ
対象:高校生以上から

世界はほんとにお先まっ暗なの? ——〈答えはNO!〉

テレビをつけると毎日、私たちを不安にさせるようなニュースばかりが放送されています。そういった世の中の現実を知ることは大切と思う一方、あまりにも暗くて絶望的なニュースばかりを見ていると「人類に未来はないのでは」と思ってしまいそうです。でも、本当にそうなのでしょうか。「いいえ、違います。希望はあります!」とこの本の著者は語りかけます。

・民主主義の社会に暮らす人が、今ほど多い時代はない。
・政治のトップには女性たちがはいるようになった。
・学校に通う子どもの数も一番多く、女の子の数も一番多い。
・清潔な水やトイレを利用できる人の数も、今までで一番多い。
このように、よくなっていることの具体例を挙げながら、もっと世界が良くなるために私たちがとるべき行動の実例を、わかりやすく優しい言葉で紹介してくれています。

もちろん、問題は多く解決すべき課題も山積です。著者は決してそれらに目をつむっているわけではありません。でも私たちがそれらの問題に取り組むためには“希望”(=「これはたたかうに値する」と強く思わせてくれるもの)が必要であり、希望がなければ問題を解決しようとする意味さえなくなってしまうと著者はいいます。だからこそ、たとえ小さなことでも世の中のよくなっていることに積極的に目を向けることが必要なのです。それらが私たちに希望を与えてくれるのですから。

私たちにできる小さなことから始めましょう。まずは、世界をよくするために頑張っている人のことを書いた本やニュースを読むこと、そしてそれらを周りの人と話すことです。できれば自分でもちょっとやってみることが大事(この本を紹介することもその一つかも)。人間には他の生き物にない優れた資質=共感力があり、創造性があって、間違いから学ぶことができます。これらを自覚して、一人一人が日々の生活を少しでもよい方に向けてみようと意識するだけでも、世の中は変わっていくと思いませんか?

最後に本の中から皆さんに、勇気の出る言葉を送ります。(か)
アフリカのことわざより:「自分は小さすぎて何も変えられないと思う人は、夜ねているとき蚊になやまされたことがない人だ。」(70P)
ルース・ベイダー・ギンズバーグの言葉:「ほんとうの変化、永続的な変化とは、一歩ずつ起きるのです」(131P)

☆ただし、フェイクニュースには十分に気をつけましょう!(「はじめに」の12~26P参照)

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