フィクション ベスト👍
『きつねの橋 巻の三 玉の小箱』
久保田香里 作
佐竹美保 絵
偕成社 刊
2024年8月 発行
定価1,980円(税込)
236ページ
対象:小学校中学年から
貴族に仕える少年と白きつねとの不思議なかかわりを描く 平安朝ファンタジー第3弾
ときは平安時代、京の都。貴族の源頼光に仕えることになった平貞道は、ひょんなことからあやかしの白きつね・葉月を助ける。(シリーズ1作目『きつねの橋』)それをきっかけに、貞道と葉月は異なる存在でありながらも窮地に陥ったときには救い合う間柄となる。都に妖狐や鬼、邪なものたちが出没するなか、シリーズ3作目では、けっして開けてはならないといわれる小箱を巡ってまたしても貞道たちはあやかしがらみの変事に巻きこまれていくのだが……。
この時代の人々の暮らしや慣例、内裏の入り組んだ人間模様は読み進めるほどに深みを増しておもしろく、1巻目の『きつねの橋』、2巻目の『うたう鬼』と通して読むことをぜひおすすめしたい。主人公・貞道の頼もしさもさることながら、幼い頃に出会った姫宮を慕い、人間の姿になって一心に仕える葉月のいじらしさが胸に迫る。人間界の常識を知らないために危なっかしい言動があって読者はヒヤヒヤするが、女房にきつく叱られようが、貞道に呆れられようが、葉月の姫さまへの慈愛に満ちた心には時にハッとさせられるものがある。
人とあやかしが共存していた時代、種を超えて通い合える友情や親愛がほんとうにあったのだとしたら、それはちょっぴりうらやましい。私だったらどんなあやかしと親しくなりたいか。付喪神なんて暮らしに身近で愉快かもしれない。
さて、シリーズ4巻目ではどんな怪異が貞道たちを待っているのか、刊行日を首を長くして待っている。 (い)
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