クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『夏目漱石解体全書 増補版』
香日ゆら 著
河出書房新社 刊
2024年4月30日 発行
1650円(税込)
143ページ
対象:中学生から

漱石は知れば知るほど、面白くなる! ーー 漱石ファンはもちろん、ちょっと気になる人も必携の決定版ガイド!

明治の文豪のひとり、日本を代表する作家である夏目漱石についてのあれこれをまとめた1冊。漱石の作品を読んだことのない人でも親しめる内容です。
「はじめに」によれば、著者は20代半ばを過ぎるまで漱石を読んだ記憶がないそうです。でも、ちょっとしたきっかけからファンになったのだとか。
そんな著者が漱石の生涯や作品についてや、日常や旅の記録等々をまとめた本書は、ページの端々から漱石愛があふれ出ています。

「ちゃんとした」本はたくさん刊行されているので気楽に読める本を目指したと書いてある通り、どこから読んでも楽しめるつくりになっています。
冒頭の「漱石人生双六」なんていい意味で馬鹿馬鹿しさもあり、年表を読むよりも親しみやすく漱石の人生に触れられる(個人的に好き。大笑いしました!)。漫画家であることを最大限に生かしていると思いました。また「漱石アルバム」と題した項では、その名のとおり漱石の様々な写真を掲載。見たことのある写真から、「へえ~」というものまで時系列に並んでいます。それでも「キリがないので」選んで掲載されているそう。キリがないって文言に愛を感じる~。
ゆかりの地や作品・文献ガイドも充実しています。

中学校や高校の現国の時間では今でも漱石の作品を読むのでしょうか? その副読本としても使えそうです。
副読本は無理としても、中高の図書館には蔵書しておいてほしいと思います。授業の折に紹介したら、手にする生徒も数人はいるんじゃないかな。わたしも漱石には学校の授業で出会いましたが、それをきっかけに好きな作家のひとりとなりました。高校2年の4月にもらった教科書に「こころ」が一部掲載されていて、読み始めたら面白くて止まらなくなり、2学期の授業前に新潮文庫を読み切っていた記憶があります。

本書は2017年に刊行されたものの増補版。明治の文豪って難しそう、と敬遠している人にこそ手にしてみてほしいものです。ぜひ! (す)

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