クリーンヒット ⚾ フィクション
『ガールズ・ルール 愛され女子でいるには』
キャンディス・ブシュネル/ケイティ・コトウーニョ 著
三辺律子 訳
静山社 刊
2024年10月 発行
1815円(税込)
308ページ
対象:高校生から
ある事件をきっかけに気づいた。そう、「女子だけ」に適用されるルールがあることに。
アメリカのハイスクールに通う17歳のマリンは、アイビーリーグのブラウン大学への進学を希望している普通の高校生。親友で幼馴染のクロエと校内新聞の共同編集者をしています。彼女のお気に入りは文学鑑賞クラスのイケメン教師・ベケット先生(通称ベックス)で、他の先生にはない自然体のくだけた様子が特に女子生徒の人気を博していました。校長は元体育教師で女子に対する服装チェックが特に厳しいこと、授業で多くの課題をこなさなければならないことに対する不満などはあっても、おおむね楽しく高校生活を送っていたマリンですが、ある時ベケット先生に車で自宅へ送ってもらう途中、本を借りるために先生の家に立ち寄ったことから事件が起こります。この出来事をきっかけに、マリンの中で初めて「女子だけに適用される理不尽なルール」があることが、明確に意識されていくのです。彼女は自分の身に起きたこと、そこから感じ考えたことを校内新聞<ビーコン>紙上に掲載しますが、これが学校内に思わぬ波紋を巻き起こすことになり……。
マリンがベケット先生から受けたような事件が起こった時、なぜいつも責められたり嘘つき呼ばわりされるのは被害者なのでしょう。勇気をもって声を上げた人が受ける仕打ちの理不尽さに、激しい怒りを覚えずにはいられません。ただ、マリンが自分の意見を「女子のルール」という記事で表明したことで、思わぬ味方も現れてきたことは事実。彼女が立ち上げたフェミニスト・ブッククラブには学年も部活動も性別も人種も様々な生徒が集まってきて、ここでの出会いでマリンは自分の中にあった偏見にも少しずつ気づいていくのです。
マリンの身に起こった出来事は、誰の身にも起きてほしくありません。でも、もしマリンのような人が声を上げた時に自分はどう向き合うのかーー性被害に限らず集団の中で起こりうる立場の弱い人たちへの様々な暴力に、自分自身がどう立ち向かうのかという根源的な問いを読者に突き付けてくる作品です。(か)
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