クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『みんなで世界を変える! 小さな革命のすすめ 』
佐久間裕美子 著
偕成社 刊
2024年3月 発行
1760円(税込)
207ページ
対象:小学校高学年から

社会をよりあたたかい場所にするために、手をつないでアクションをおこそう!

皆さんは“社会活動家=アクティビスト”と聞いてどんな人を想像するでしょうか。「なんだか怖そう…」とか「偉い人?」、もしくは「自分には関係ない!」なんて感じる人がいたら、どれも違います。これは怖くもないし、偉くもない普通の人の、そして私たち一人一人に関係があるお話です。

著者の佐久間さんは23歳でアメリカに渡ってから25年間、ニューヨークで暮らしています。大学生までは日本で暮らしていましたが、学校生活に違和感を感じることが多く、子どもの頃は「問題児」として扱われてきたそうです。今行っている様々な社会活動の原点は、この子ども時代の体験に根差すところが大きいのではないかと感じます。佐久間さんのすごいところは、自分を社会に無理やり合わせるのではなく、その違和感の正体を子どもなりに見つめようとしたことでした。
佐久間さんがライターとしていろいろな人たちの話を聞く中で特に情熱を注いできたのは、一人一人が生きやすい社会に変えていこうと努力をしている人(アクティビスト)たちの声を拾うことです。その仕事自体がアクティビストとしての活動といえますが、取材・発信を続ける中でより直接的に社会をより暮らしやすい場所にしようという行動(社会運動)に繋がったのは自然なことに思われます。日本ではマジョリティに属していた佐久間さんが憧れのアメリカへわたって見れば、“移民・アジア系・女性”というマイノリティの立場に立たされるという現実――初めて留学したアメリカの大学で、様々な人種・宗教の人々と出会い交流することによって得られた気づきも大きかったことでしょう。つまり、アクティビストであるための第一歩は「気づくこと」だということをこの本は教えてくれます。気づいたその先でどうするかーーデモや署名といった直接行動だけではなく、SNSで情報をシェアをしたり、買い物など生活者としてできることもいろいろあると知れば、アクティビストに対して抱いていた壁が少し低くなるかもしれません。

難しくは考えず、まずは自分が関心のあるところに繋がりを求めてみよう!それが私にとっての“小さな革命”だと思いました。(か)

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