クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『苦手から始める作文教室 文章が書けたらいいことはある?』(ちくまQブックス)
津村記久子 著
筑摩書房 刊
2022年9月30日 発行
定価1210円(税込)
124ページ
対象:中学生から
書くことで自分を見つける
芥川賞作家である著者による作文教室。
第1章にある「文章を書くことを仕事にしている身分で言うのもなんなのですが、わたしは文章を書くこと、つまり作文が年々苦手になってきています」との告白に「ええっ!」と驚愕してしまいました。でも、その分著者がとっても身近な存在に感じます。そして「テーマの決めかた」「書き出し」「伝わらなさ」「感想文を書く意味」から始まって「いい文章の正体」「誰も読まない作文はない」といった作文の本質に迫ります。
とはいえ、まったく堅苦しいことはなくて、サクサク読み進められます。近所のお姉さんが話してくれているかんじ。こざっぱりした文章で、とても読みやすいのも◎。何度も声をあげて笑っちゃいました。書くことで自分の考えをまとめられたり、すぐ忘れてしまうようなことも思い出すことができたり、いいことがたくさんあるのです。確かに、と思います。最近、書かなくなったけど、その昔は日記をつけていて、時々読み返しては自分ってこんなこと思っていたのか、と時に感慨深くなったりしたなと。本文にもありましたが、書き出すことで気持ちの整理がついたりすることもあるものです。誰かに話さなくても、未来の自分あてに、みたいな?
書くことが好きだったり、得意な人も発見があるかも。もちろん苦手な人には参考になること間違いなし! です。SNSよりおすすめ、の言葉に拍手!
作文を書こうとしていなくても、作文についての作文として、抜群におもしろい読み物として読めます。騙されたと思って、ぜひ手に取ってみてほしいです(笑)。 (す)
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