クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『リンボウ先生のなるほど古典はおもしろい!』
林望 著
武田美穂 絵
理論社 刊
2023年1月 発行
定価1430円(税込)
226ページ
対象:中学生から

国文学者で名エッセイストの著者が教えてくれる「古典」のとっておきのポイントとは?

1991年『イギリスはおいしい』で一世を風靡した著者による、はじめての(!)の子ども向けに書かれた1冊。
『土佐日記』『伊勢物語』『源氏物語』『枕草子』、といった古典を丁寧に取り上げています。

著者曰く、古文は外国語ではない。母語である日本語のちょっと昔ふうの文章だ、とのこと。確かにそうです、リンボウ先生…。
まずは臆することなく、原文をゆっくりと読んでみようというのです。なかでも和歌は声にだして、うたってみよと。黙読では味わえないうたの情景が浮かんでくるに違いないだろうと。
そこで、声に出してみました。
するとあら不思議。言葉の調べが心地よく、イメージがじんわりと広がります。和歌は歌ってこそ、の文学だと肌身をもって実感できます。
本書のなかで、著者リンボウ先生はこう言っています。
「黙読で読んでしまえば二、三秒の和歌を、一分ないし一分半ほどもの長い時間をかけてゆったりと歌う、というのが声に出して朗誦するという行為であることがわかる。」

ほかの指摘もいちいちごもっともで、ふむふむとうなずきながらページをめくっていました。
ただ、あちこちに他の著書の宣伝(?)みたいな文章が出てくるのは、ちょっとお腹いっぱいなかんじです。すみません。
とはいえ、文章は大変読みやすく、ちょっと頑張って古典を読んでみようかな、という気になりました。
学校の古文の授業が苦手、という人もぜひ手にしてみてほしいです。苦手を克服できるきっかけがあると思います。
好きな人は、さらに楽しみを深められるのではないでしょうか。  (す)

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