クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『はじめてのフェミニズム』
デボラ・キャメロン 著
向井和美 訳
筑摩書房 刊
2023年9月10日 発行
968円(税込)
217ページ
対象:高校生から

対立も矛盾もそのまま理解し、前に進むための超入門!

「フェミニズム」と聞くと難しそう、とか自分とは関係ないやって声が聞こえてきそうです。でも、そんなことは全然ないってことが本書を読むとよくわかります。
翻訳なので日本の状況とは違う場面もありますが、それでも「フェミニズム」の基本的なことがらを丁寧に説いている本です。

目次をひも解くと「支配」「権利」「仕事」「女らしさ」「セックス」「文化」「断層線と未来」とあります。フェミニストの間でも様々な事象に対し意見が分かれることが多い、というのは新鮮な視点でした。なんとなく一致団結、みたいなイメージがあったのですが、驚きました。
とにかく多様で複雑な論点を明快にしてくれる論旨が心地よかった。

性差や年齢、国籍などに関係なく、あらゆる立場の人が本書に書かれていることを少しでも理解して生きていけたら、差別は少なくなるだろうし、誰もが生きやすい社会の実現につながるだろうと思いました。
これから社会をつくる若い人にぜひ知ってほしい知見でしょう。
さらに深く学びたい人のために、読書案内を付しています。難しそうと思った人はまず「あとがき」を読むだけでも、と思います。 (す)