クリーンヒット⚾ フィクション
『だれもしらない小さな家』
エリナー・クライマー 作
佐竹美保 絵
小宮由 訳
岩波書店 刊
2022年10月 発行
定価1430円（税込）
62ページ
対象：小学校低学年から
ビルにはさまれたちいさいおうち、いったいどうなるの？
ずっと昔、広い庭の真ん中に小さい家があって、ある家族が住んでいました。でも町が大きくなるにつれて、家の両側には大きなマンションがたち……と聞くと、すぐに思い浮かぶのはV.L.バートンの『ちいさいおうち』ですが、これは家そのものが主人公ではありません。忘れられた小さな家をよみがえらせた、元気な二人の女の子のお話です。
仲良しのアリスとジェーンは学校帰りにいつも、誰も住んでいない埃だらけの（でもかわいい）小さな家をのぞき込んでいました。時々大家さんが借り手を案内してくることもありましたが、どの人もこの家には合いません。そんなある日、玄関のドアのカギが開いていることに気づいた二人は、ここで“おうちごっこ”をすることにしました。きれいに掃除をし、クッションやテーブルクロス、ままごとの食器などを持ってきて居心地よくしたところへ、近所のおばあさんがクッキーのいっぱいつまったかごを持ってやって来て……。
家は住む人があってこそ活きるもの！ 「だれもしらない小さな家」は「みんながしってる小さなクッキー屋さん」に変わって、きっと町の人たちを幸せにすることでしょう。心もお腹もいっぱいになる楽しい幼年童話です。（か）
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