クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『「くうき」が僕らを吞みこむ前に 脱サイレント・マジョリティー』
山田健太 著
たまむらさちこ 絵
理論社 刊
2023年1月 発行
定価1430円(税込)
90ページ
対象:中学生から

プロフェッサー・ケンタと考える 自由のための7章

2000年代終わり頃に流行語となり、今ではすっかり市民権を得た“KY(空気よめない)”という言葉。その「くうき」っていったい何なのでしょう。どうして私たちは「くうき」を読まないといけないと思い込んでいるのでしょうか。
バラバラの個人が集団としてうまくやっていくために「くうき」を読むことは時に必要でも、「くうき」を読み過ぎることによる弊害は大きいと私たちは知っています。そんな「くうき」を読み過ぎる社会のなかで、自分の頭で考えることの大切さを、イラストを主として易しく中高生向けに語っているのがこの本です。とはいえ、内容としては大人こそが心に留めなければいけないことだと思います。なぜなら子どもの社会は大人の社会の写し鏡だから――大人が周りを気にしすぎて自分の意見をはっきり言わないような社会で、子どもだけに「自分の意見を臆せず言おう」というのは何か違うと思うのです。

“サイレント・マジョリティー”から脱することの重要性は分かっていても、黙っていることが長く身に付いてしまった者としていざ行動しようとするとなかなか難しいのが現実。でもまず「この本を読んでみて! 感想を聞かせてよ」というところから、私は始めたいと思いました。物事を決める「くうき」は私たち自身が作り出しているものなのですから、おかしいと思ったことを声に出せばきっと変えられると信じて……。(か)

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