クリーンヒット⚾ フィクション
『朝読みのライスおばさん』
長江優子 作
みずうちさとみ 絵
理論社 刊
2024年11月 発行
定価1540円(税込)
190ページ
対象:小学校高学年から

月曜日の朝にあらわれる、なぞのおばさんは……だれ?

コースケの通う空池小学校には、月曜日の朝8時25分から40分まで「朝読みタイム」と呼ばれる読み聞かせの時間があります。ボランティアにメンバー登録をした保護者がやって来て本を読んでくれる日と自主読書の日があり、最近は読み聞かせの日が減っていました。そんなある月曜日、5年2組の教室にド派手なワンピースを着た見知らぬおばさんが現れ、いきなり自作の紙芝居を広げたかと思うとラップまで歌い始め、クラスのみんなは茫然自失。終わると「お礼は不要!感想も不要!」と大声で宣言して、謎のおばさんはあっという間に姿を消しました。このキョーレツなおばさんは一体何者⁉ 担任の先生や母親たちが何か隠しているようだと察したコースケは、クラスメイトとおばさんの正体を探ろうとしますが――。

ライスおばさん(本名:米粟米子=ヨネアワメイコ)の出現でコースケら5年2組の子どもたちは、朝読みタイムに関してクラスのみんながそれぞれ違った意見を持っていることに気づかされます。それは、忙しい中時間を作り、慣れない絵本の読み聞かせに挑戦するボランティアのお母さんたちも同じでした。考えの異なるひとりひとりにとって一番良い朝読みタイムのあり方を見出そうとする中で、コースケたちはなぜ米粟米子さんが<さすらいの読み聞かせセラピスト>=ライスおばさんになったのかを知ることになるのです。

子どもたちの保護者や地域のボランティアによる朝の読み聞かせは今や全国規模で広がり定着しています。それによって、子どもたちが本にふれる機会が増えるのは「良いこと」と考えるのは、もしかしたらボランティアのお節介かもしれないと、ライスおばさんの同類としては少々気になるところです。でもこの型破りなライスおばさんの言葉に思わず頷いたり、勇気をもらったりするのは子どもだけではないかもしれません。

「お礼は、あんたたちのまっすぐな目と、ピンと立てた耳だけで十分。好きに聞いてくれたらいいんだよ」
「みんなで同じお話を聞いても、感じ方はそれぞれちがうってところがおもしろいんだよねえ。」
「読み聞かせは、ごはん一膳分にはならないけど、心の栄養の一粒になる。高学年だからこそ、だれかに本を読んでもらう最後の時間を味わってほしい」 ⇒本当にその通りです! (か)

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