クリーンヒット 
ノンフィクション
『動物の義足やさん』
沢田俊子 文
講談社 刊
2024年6月 発行
105ページ
1650円（税込）
対象：小学校中学年から
もう1度歩けるようになった動物たちの本当にあった物語
島田旭緒さんは、動物の義足や体を支える器具を専門に作っていて、今までに作った義肢や補助装具の数は3万点を超えました。動物の種類は、ペットの犬やねこ、ほかにはポニーやペンギン、うさぎやたぬきの装具も作ります。
本書では、坂本さん一家が実際に飼っている、3本足の犬 ニーナのお話や、ある工場敷地内で飼っている合鴨のクニコちゃん、ペンギンのてーと銀、秋田犬のスバル、トイ・プードルのファティマ、ねこのきなこのことなどーー実際にあったお話を通して、島田さんの仕事について知ることができます。
一言に義足といっても、動物によって症状や個性がちがうため、どんな義足にすれば負担が少ないのか、歩きやすいのか、島田さんは動物に合わせた義足を作ります。例えば、3本足の犬ニーナの義足はどのように作られたのでしょう。実際にできあがるまでの過程は、本書でお確かめください。
島田さんは、義足が合うまで何度も無償で修理しています。理由は、最高の状態で使ってほしいから。利益は考えないようにしているという言葉には、仕事への情熱と、深い愛が伝わります。
仕事にはつながらなかった場合も「飼い主さんによろこんでもらえればそれで充分」だと思うようにしているという島田さんのエネルギー源とは。また、義肢装具士になったきっかけとは、何でしょう。「まだないもの」に立ち向かい、新たな道を切り開く姿が記されていて、心が動かされる1冊です。多くの子どもたちにも、手に取ってほしいと思います。（み）
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