クリーンヒット⚾ フィクション
『ダンス★フレンド』
カミラ・チェスター 作
櫛田理絵 訳
早川世詩男 絵
小峰書店 刊
2024年10月 発行
定価1870円(税込)
206ページ
対象:小学校高学年から

秘密をかかえた少女と、場面かんもく症の少年の、勇気と友情の物語。

夏休みのある日、庭のトランポリンでダンス・ジャンプをして遊んでいた11歳のレオは、隣に引っ越してきたリカと知り合います。レオは家の外ではしゃべりたくてもしゃべれない「場面かんもく症」ですが、リカは気にする様子もなく、そんな彼女と友だちになることをレオは想像します。場面かんもく症のために学校ではいつも一人でいるけれど、心の底では友だちが欲しいと願っていたレオは、リカに自分のことをちゃんと知ってもらうために、兄姉のアドバイスに従ってなぜしゃべれないのかを手紙に書いて説明することにしました。
翌週の月曜日からはレオが楽しみにしていた夏のダンスレッスンが始まります。リカも教室に参加することを知って手紙のことが気にかかるレオ。でもリカはまったくそのことを話題にしません。同じ教室にはレオの小学校の同級生女子が3人参加していて、ダンスが上手なリカを自分たちのグループに引き入れようと試みますが、レオの側に留まるというリカの態度はきっぱりしていました。そして夏期レッスン二日目の夜、リカは誰にも話せない重大な秘密をレオに打ち明けて……。

自分の意思に反して言葉が出なかったり体が動かなくなってしまう「場面かんもく症」のレオは、その問題が他人に見えるためにクラスでは浮いた存在になっており、なかなか彼と友だちになってくれる人はいません。一方、明るい性格で物怖じしないリカの抱える問題は、人には気づかれにくいため一層深刻に彼女の心を傷つけています。二人がそれぞれの困難を乗り越えるために互いに手を伸ばし、誤解や行き違いがあっても最後は相手のために自分の最善を尽くそうとする姿は本当に感動的です。人が勇気を出して壁を乗り越える力は、もしかしたら「自分のため」よりも「大切な誰かのため」にこそ生まれてくるのかもしれない―—最後の二人の息がぴったりあった見事なダンスは、そのことを私たちに教えてくれます。(か)

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