クリーンヒット⚾ノンフィクション
『とことんカラス』
BIRDER編集部 編
文一総合出版 刊
2023年9月 発行
1980円(税込)
127ページ
対象:小学校中学年から
“野鳥専門誌が本気で作った最新版カラス入門”
よく見かけるけれど、実はよく知らない身近な鳥”カラス”。
本書は、日本で唯一のバードウォッチングマガジン『BIRDER』編集部が手がけた、最新版のカラス入門。写真家が撮影した躍動感ある写真を眺めながら、カラスの基本的な知識から奥深い情報まで「とことん」知ることができます。とくに、表情のある美しい写真は必見。うるんだ瞳でこちらを見つめる姿をおさめた1枚には心奪われました。
この1冊には「今さら聞けない…カラスってどんな鳥?」「じつはカラスのなかまです」「街のカラスの1日をのぞいてみよう!」「カラスはいったい、どれくらいかしこいのか」「カラスとの共存をめざして」「カラスにまつわる都市伝説」など、気になる内容が盛りだくさん。
最も興味深かったのは、カラスの賢さに関する内容。どのくらい賢いのか、写真とともに知ることができるのですが、なかでも水道のレバーを操作して水を出し、飲むことができるカラスには驚かされました。なんと、水道を操作できるカラスは世界の中で日本にしかいないそう。用途に合わせて水量まで調整可能だというので驚きました。
また、カラスには様々な都市伝説があります。光るものが好き、目をつついてくるから目を合わせないほうがいい、東京のカラスは進化している、など。でも、これらは正しい情報ではないそう。カラスは身近な存在であるにも関わらず、誤解と偏見に包まれる現状があります。
では、なぜ人はカラスに良い印象を持つことが少ないのでしょう。その理由として考えられることも紹介されているので、理解が深まります。
本書を読み終えたとき、カラスに対する思いが以前とはちがっていることに気付きます。何事も「とことん」知り、正しい知識を得ることで、向き合い方がかわることを実感しました。(み)
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