クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『そんなときは書店にどうぞ』
瀬尾まいこ 著
水鈴社 刊
2025年1月1日 発行
定価1,760円(税込)
208ページ
対象:中学生から

「どんなときでも書店にどうぞ。」

書店好きを公言する作家・瀬尾まいこさん。『幸福な食卓』(講談社)や『そして、バトンは渡された』(文藝春秋)など数々の名作を生んだ瀬尾さんが、あるときは出版社営業部の豪快な先輩と、またあるときは秘書(娘さん)と運転手(旦那さん)を連れて、書店に挨拶周りに出かけたときの様子などをユーモラスに綴った最新エッセイです。
ご家族との愛情あふれるやりとりは『ファミリーデイズ』(集英社)でも触れられていますが、当時あかちゃんだった娘さんがいまや小学生。瀬尾さんに付いて大人顔負けに書店営業をこなす姿は微笑ましいを通り越して感慨深いものがあり、ご登場は限られるものの柔和な旦那さんとの掛け合いも健全で、瀬尾さんファミリーのファンとしてもたまらない1冊です。

ダジャレ(正しくは本書の版元・水鈴社社長のダジャレ)にツッコミに関西弁で綴られる絶妙なテンポに、思わず笑みがこぼれて気持ちが上向きになる本書。後半には、映画化された『夜明けのすべて』(水鈴社)の撮影秘話と書き下ろし短編小説まで収録されているという贅沢な内容ですが、なによりも感服したことーー。それは、この本の著者印税と版元の収益を全国の書店を応援するために使うとおっしゃっていることです。
町から書店が消えていくニュースが後を絶たず品切れや休刊に追い込まれる本や雑誌が増えるなか、書店の存続におためごかしではなく取り組もうとしている人がここにいる、そのまごうことなき書店愛に現場の書店員がどれほど奮い立たされることか。本という文化をつなぐための新たな挑戦ともいえるこの本を、今度は私たち書店員が読者に手渡していくこと。小さなパスを脈々と渡すことが書店の消失に歯止めをかけるかもしれない。その最初のバトンを、確かに託されたと感じています。 (い)

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