石井桃子さんを中心に、いぬいとみこ・鈴木晋一・瀬田貞二・松居直・渡辺茂男ら児童文学者が集った研究会ISUMI会の貴重な記録が復刊です。福音館書店版が品切れになってから、どれだけの方に「この本はありませんか?」と聞かれたことでしょう! 「子どもの本とは何か」を考える人たちにとって決して欠かすことのできない本書が新たによみがえったことに、私たちと同じく全国で多くの方が万歳三唱をしているのではないかと想像します。大人が子どもに良いと思う本と、子ども自身がおもしろいと感じる作品に乖離があることは今も昔も変わりませんが、この論で児童文学の本質がはっきりと示されたことがのちの時代に与えた影響はとても大きいーーそしてその本質はたとえ時代が変わっても変わることはないのです。日々大量の新刊におぼれそうになっている私たちも、今一度本書を手に取り「子どもにとって真に大事なものは何か」を見つめ直したいと思います。

『子どもと文学 増補新版』石井桃子・いぬいとみこ・鈴木晋一・瀬田貞二・松居直・渡辺茂男 著/中公文庫 1100円(税込)
※福音館書店版を定本とし、石井桃子講演「子どもと読書」、瀬田貞二講演「子どもと文学--ファンタジーの特質」、鈴木晋一「ISUMI会と石井桃子さんの思い出」が付録として収録。さらに斎藤惇夫氏の解説が加わっています。

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