【たくさんのふしぎ40th】🤔(2012年5月号)
『琉球という国があった』
上里隆史 文
富山義則 写真
一ノ関圭 絵
福音館書店 刊
2020年2月10日 発行
1430円(税込)
40ページ

琉球とは?首里城とは?はるか昔の沖縄の歴史

今から140年前、沖縄県と鹿児島県奄美諸島を含む島々は琉球王国と呼ばれており、王様が統治する日本とは別の国でした。
琉球王国には中国や日本、朝鮮、東南アジアから来た商人をはじめたくさんの人が入り乱れており、その中心となった那覇は国際的な都市として繁栄しました。
都市の発展は琉球の文化にも影響を与えます。そのうちの一つが「首里城」を代表とするお城です。「グスク」と呼ばれる琉球のお城には、日本のお城にある天守閣がありません。建物は広々とゆったりしていて、形状も日本のものとは異なり、中国、朝鮮、東南アジア諸国との交流の中で生まれてきたものであることがわかります。
琉球が栄えた背景には、当時の中国王朝「明」との特権的な貿易がありました。他国との貿易を禁止した明ですが、琉球との貿易だけは継続します。その結果、明から輸入した貴重な品々を他国に輸出する中継貿易によって、資源の少ない琉球は発展を遂げたのです。ではなぜ、明は小国にもかかわらず琉球だけに貿易を認めたのでしょうか。その答えはぜひ本書を読んでいただきたいと思います。

現在は日本国の一部となっていますが、その歴史には独自の道のりがありました。首里城にあるという「万国津梁の鐘」に刻まれた文章には「琉球は、朝鮮からは優れたところを取り入れ、中国や日本とも大変親しくつきあっている。(中略)琉球は舟によって世界に橋をかけ、めずらしい宝は国内のいたるところに満ちあふれている」とあるそうです。どこの国とも争いを起こさず、世界を繋ぐことで国が繫栄している。そのことを誇りとしている様は、まさにグローバル化の波に揺らぐ現在の日本こそ学ぶべき姿勢なのではないかと考えさせられました。

なお、本書は2012年5月に月刊「たくさんのふしぎ」として刊行し、2019年10月31日の首里城の火災を経て、2020年2月に「たくさんのふしぎ傑作集」としてハードカバー化されました。巻末には著者上里隆史氏の思いが載せられています。そちらも合わせてお読みください。(ほ)

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