岩波書店営業部の方からお詫びのメールと共に届いたのが、ローズマリ・サトクリフ『銀の枝』(岩波少年文庫)在庫僅少のお知らせ。確かに、もうすでに『太陽の戦士』や『ともしびをかかげて(上)』など品切れになっている本もあったけれど、さらにですか⁉と愕然としたナルニア国スタッフ。この名作がなくなってしまうかもしれないなんて……そんなことがあっていいのだろうか(いや、いけない!)
「ローマン・ブリテン4部作」はサトクリフの歴史小説の中でも特に知られた作品群ですが、第1作の『第九軍団のワシ』は作者自身が最も愛着を持っていた作品なのだそうです。『銀の枝』はそれに続く第2作目にあたり、1巻目の主人公マーカスが困難な旅の末に持ち帰ったローマ軍団の≪ワシ≫の旗印が子孫フラビウスによってふたたび発見されるというドラマチックな展開。主人公を襲う運命の厳しさはさるものながら、ここには素晴らしい友情も描かれて読者をワクワクさせてくれます。ローマ帝国時代のブリテン島というはるか昔の異国が舞台になっていても、主人公と共に試練を体験しているように感じさせてくれるサトクリフの筆力は見事というほかありません。1巻目を読んでいなくても話はちゃんとわかりますので、とりあえずなくなってしまう前に買って読みたいという方、まだ読んでいない方にサトクリフ作品の重厚な読書体験をぜひ味わっていただきたいと思います!
「サトクリフの作品は(中略)その主人公たちの生き方を通じて、歴史と個人の人生とのもつ意味を浮き上がらせるように書かれていることが大きな特徴と言えましょう。人間が歴史のなかに生きるとはどういうことなのか、それをわくわくする事件の進行のなかで、サトクリフは見事に示し、人間にとって生きるためには、何が一番大事であるかを示すのです。」(『銀の枝』あとがきより、猪熊葉子さんのことば)
『銀の枝』ローズマリ・サトクリフ作/猪熊葉子訳/岩波少年文庫 836円(税込)
※店頭在庫は10冊です。遠方の方にはお送りもいたしますので、ご希望の方はお気軽にお申し付けください。
★ご注文、お問い合わせはお電話、Fax、メールにて承ります★
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メールでのお問い合わせは下記のフォームからどうぞ。