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『ミツツボアリをもとめて アボリジニ家族との旅』
今森光彦 著・写真
偕成社 刊
2024年9月 発行
40ページ
1760円(税込)
対象:小学校中学年から

オーストラリアの砂漠地帯を徒歩で旅した貴重な記録

『今森光彦 昆虫記』(福音館書店)や『おじいちゃんは水のにおいがした』(偕成社)、『里山物語』(新潮社/現在品切れ)などの著作で知られる写真家の写真絵本。

著者が南オーストラリアの砂漠地帯に訪れたのは、まだ見たことのないミツツボアリというアリに出会うためでした。どうやって探せばいいのか?
数万年前からこの地で暮らすアボリジニにとって、このミツツボアリは大好きなおやつらしいのです。アボリジニの家族と知り合いになった著者は、このアリをとりにいく旅に同行することになりました。
何日もかけて歩いていくので食料の準備もします。石ころだらけの地面を歩いていると、オオトカゲやワラビーなどの動物に遭遇したり、高さ2メートルを超えるシロアリの作った巨大な塔やアボリジニが描いた洞窟壁画と驚くような光景の連続。それらの写真はどれも見ごたえ充分で、ページをめくる手が止まりません。
そして、ミツツボアリです!
働きアリには密のつぼになる役割のアリがいて、ほかのアリが集めてくる密をおなかにたくわえるそう。暗い穴の奥に小さな部屋があって、中にビー玉のようなものが並ぶ。天井からぶらさがっている。この光景の写真は本当に驚くほど美しく、生き物を神秘を感じざるを得ませんでした。

ミツツボアリという虫を求める旅でありながら、厳しい自然を生き抜いてきた人たちのたくましさを感じる1冊です。

見返しには著者の旅のフィールドノートの一部が印刷されていて、それを見るのも楽しいつくりになっています。
ただ1点気になったのが、この旅がいつのものなのかが記載されていないこと。奥付に小さくてもよいので、記載があればよかったなあと思います。たぶん、最近のことではないと思うのだけど…? わたしが見逃しているだけかな? (す)

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