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『星ぼしでめぐるギリシア神話』
百々祐利子 著
花松あゆみ 画
岩波書店 刊
2022年8月 発行
定価924円(税込)
360ージ
対象:小学校高学年から
何千年もの時を超えて語り継がれてきた豊かな神話の世界
秋の夜空は夏や冬に比べて暗い星々が多く、残念ながら東京など都会の空ではほとんど星が見えません。しかしその空に描かれた星座を物語の視点から見ていくと、どの季節よりもドラマチックで心躍る恋と冒険の物語が展開されていることに気がつきます。最も有名なのは古代エチオピア王家のアンドロメダ姫と大神ゼウスの息子で半神の英雄ペルセウスの物語でしょう。美しい姫を恐ろしい海獣から救う凛々しい英雄の活躍は、数千年の時を超えて現代の私たちの心もワクワクさせてくれます。
本書の魅力は、単によく知られたギリシア神話を列挙するのではなく、私たちの頭上に広がる広大な宇宙とそこに星座を描き物語を生み出した古代ギリシア人とを結んでくれることです。科学と文学をつなぐ書き方は図鑑とも、はたまた物語の本とも違って、まるでプラネタリウムで満天の星を見上げながらその解説をゆったりと味わっているような心地よさを感じさせます。
もしお手元に星座図鑑や星座早見表などをお持ちでしたら、ぜひ本を読みながら開いてみてください。そしていつかは、実際の夜空に自分で星を結びながらギリシアの神々の物語を思い起こしてくださったら、その時初めてこの本が本当にあなたのものになるのだと思います。(か)
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