ベスト 👍 ノンフィクション
『中学生から知りたいパレスチナのこと』
岡真理、小山哲、藤原辰史 著
ミシマ社 刊
2024年7月23日 発行
216ページ
1980円(税込)
対象:中学生から

あらゆる人が戦争と自分を結びつけ、歴史に出会い直すために。

本書は2年前に緊急出版された『中学生から知りたいウクライナのこと』の姉妹編ともいえる一冊。2024年2月13日京都大学で開催された「人文学の死ーーガザのジェノサイドと近代五百年のヨーロッパの植民地主義」(第Ⅰ部)、2月28日のオンライン講座MSLive!「中学生から知りたいウクライナのことーー侵攻から二年が経って」(第Ⅱ部)、その後(4月10日)非公開でおこなった鼎談「『本当の意味での世界史』を学ぶために」(第Ⅲ部)を収録しています。

『中学生から知りたいウクライナのこと』もそうでしたが、本書も知らないことばかりが書かれていて驚いてばかりいました。そしてあまり見聞きしない語句が多いので、意味がすんなり通らない(これは単にわたしが不勉強であるせい!)。でも大事なことがここにある、ってことはビシバシと伝わってきました。それはそれぞれの著者の真剣さ、必死さがページからあふれているためと思われます。
アラブ、ポーランド、ドイツを専門にする共通項がなさそうな3人の対話ですが、いやいや、見ている景色は一緒。危機感あふれるお話は、どこか遠くの国のできごとと思いがちな「パレスチナ」のできごとが日本とも深くかかわりがあることを示唆するものです。

特に深く感じ入ったのが「日本史」「西洋史」「東洋史」の区分についての部分です。著者が話す歴史の捉え方に納得させられました。この考え方が変わるだけで世界の見え方って違ってくるのかな、と思いました。これから歴史を学ぶ子どもたちには区分なしの歴史を学んでほしい。この考え方がスタンダードになればいいのに…。
しかし、まだまだ内容を理解したとはとても思えません! 最低あと5回くらいは読まないと難しいかなあ。

あ、あと装幀の美しさにも惹かれました。そっけないものになりそうな内容の本ですが、表紙の鮮やかさに目を奪われます。ぜひパレスチナのことを多くの方に本書を通して知っていただきたいです。 (す)

★ご注文、お問い合わせはお電話、Fax、メールにて承ります★
売場直通電話 03-3563-0730
Fax 03-3561-7350
メール narnia@kyobunkwan.co.jp