ベスト👍 フィクション
『チビにいちゃんとOちゃん』
エディス・ウンネルスタッド 文
小宮由 訳
さこももみ 絵
瑞雲舎 刊
2023年7月 発行
定価1760円(税込)
143ページ
対象:小学校低学年から
チビにいちゃんの、ドキドキの日常を描いた5つのお話
七人きょうだいの下から二番目で5歳のパトリック(チビにいちゃん)は、好奇心旺盛で遊びの達人! どんなときでも退屈するということを知りません。雨で外に行けなければ、ホウロウの大きなたらいをボートに見立ててブルー湾(家で一番長い廊下)に漕ぎ出しますし、眠っている妹(3歳のOちゃん)をもっとかわいくしてあげようと顔にインクを塗ってみたりもします。ママの代わりにパン屋へ買い物に行けば、お腹がすいて我慢ができず丸パンをちびちびかじり取ってしまったり……。夏にベラおばさんの別荘に忘れてきたおもちゃのアヒルがどうしても欲しくなり、冬の最中に一人でバスに乗って出かけ、さらには凍った湖まで渡ってしまう行動力は読者をハラハラと同時にワクワクさせます。チビにいちゃんの毎日には思いもよらない事件がいっぱいなのです。
1974年に学研から出版された『すえっこOちゃん』(2003年にフェリシモ出版から再販。現在は品切れ重版未定)の姉妹編。こちらはその前段のお話で、主人公はOちゃんのすぐ上の兄パトリック(チビにいちゃん)です。これと思ったことは何でも実行しますし、年の割に(⁉)口も達者! 大人の感覚からするとつい小言を言いたくなってしまう場面も多々あるのですが、両親を含めた大人の牧歌的ともいえるおおらかさが非常に魅力的です。現実世界ではここまで子どもが自由にふるまえる環境はないかもしれませんが、見守られている中でめいいっぱい冒険するその喜びを、子どもたちにはチビにいちゃんのお話を通して味わってほしいと思います。
秋には続編『チビにいちゃんと馬のロッタ』も刊行予定とのこと。楽しみですね!(か)
※原書の挿絵は『すえっこOちゃん』と同じルイス・スロボドキンですが、著作権の関係で今回は使用できず、日本語版では新たにさこももみさんが挿絵を付けられました。
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