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『オズの魔法使い』
L.F.ボーム 原作
岸田衿子 文
堀内誠一 絵
偕成社 刊
2022年12月 発行
定価2640円(税込)
76ページ
対象:小学校低学年から
名作をあざやかに絵本化した愛蔵版
1900年に発表されたボームの『オズの魔法使い』は、世界中に翻訳紹介され「アメリカで最も優れ、最も愛されているおとぎ話」と評される名作です。原作は300ページを超える長編ファンタジーですが、物語のエッセンスをそのままに大胆にリライトされた絵本が新装復刊となりました。
竜巻でカンザスからオズの国に運ばれたドロシーは、故郷に戻してもらうため、わらのかかしやブリキの木こり、弱虫のライオンを連れて、エメラルドの都に住む魔法使いのオズ大王に会いに行きます。
初版につけられたデンスロウの個性的な挿絵は、この物語と分かちがたく結びついています。けれど軽妙にテンポよく書き直された(もはや抄訳というより創作というほうがふさわしい)岸田衿子さんの文章と、その物語を鮮やかで動きのある37場面に描き切った(その上、見る人が自分なりの想像を広げる余地もある)堀内誠一さんの手腕は、原作のオズにも匹敵するおもしろさで見事というほかありません。
安易なダイジェストには基本的に反対(⁉)で、できることならオリジナルが読める年齢になってからじっくりその作品と出会って欲しいと日頃は願っているのですが、ダイジェストにも良し悪しがあるということを、この絵本を見て強く感じました。就学前の子どもたちも、この絵本を読んでもらえば『オズの魔法使い』の世界を十分に楽しむことができます。心の中にこのカラフルで楽しい大冒険のイメージがあれば、きっと小学校中・高学年になった時に原作の『オズの魔法使い』に出合い直してくれるはず――。そんな勝手な妄想も広がる、とびきり楽しい絵本です。(か)
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