ベスト👍 フィクション
『アナグマの森へ』
アンソニー・マゴーワン 作
野口絵美 訳
徳間書店 刊
2023年12月31日 発行
定価1650円(税込)
135ページ
対象:高学年以上

ニッキーとケニー最初の物語~”本当の家”を探して・・・

少年ニッキーは知的障害のあるひとつ違いの兄ケニーを見守りながら
ギリギリの思いで毎日を生活していた。
母親は小さい頃に家を出て行ったきり、父親は犯罪に巻き込まれ
酒におぼれる日々。
ある日、村の不良たちにだまされ、ケニーとニッキーは森の雑木林に
呼び出され、野生のアナグマの巣穴を荒し犬をけしかける「遊び」に
無理やり付き合わされる。
蛮行のあと、戻ったニッキーは不良たちがめちゃめちゃにした巣穴の近くから
瀕死の状態で放置された子犬と、そしてアナグマの赤ん坊を見つける…。

ニッキーの視点で物語は進んでいきますが、ニッキーが兄と助けた小さな命に注ぐまなざしは
読み手がもどかしくなるくらい優しく、物語全体を解きほぐしていきます。
「家族の再生の物語」とひと言でくくってしまうと、とたんに陳腐になってしまいますが
読み終えた後に心に残るのは、しみじみとした柔らかく温かな光です。

イギリスで2013年に刊行された本書のあと、2019年に出された続編『荒野にヒバリをさがして』は
翌2020年の、カーネギー賞を受賞しました。
日本では『荒野にヒバリをさがして』が先に出版されたので、すでにお読みの方もいらっしゃるかも
しれません。
『荒野~』をお読みの方は、あの物語の数年前のこの本を、そしてこちらを先に読んだ方はその後の
ケニーとニッキーの家族に会いに行ってください。              (く)

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