クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『言葉なんていらない?私と世界のあいだ』
古田徹也 著
創元社 刊
2024年10月30日 発行
189ページ
1760円(税込)
対象:中学生から

言葉を介したコミュニケーションはなぜ、うまくいかないのーー?

わたしたちは暮らしていく中で「言葉」なしでは生きていけません。今、こうしているときも「言葉」を使っています!
しかし、ときに言葉による表現は曖昧で、不正確。意図通りに相手に伝わらなかったり、誤解やトラブルのもとになることもあります。誰でもそんな経験が、きっとひとつやふたつあるでしょう。はたして言葉とは何なのでしょう?
わたしと世界をつなぐメディア(媒介物)なのか、隔てるバリア(障壁)なのかーー。
この問いから言葉の役割を多角的にみつめていきます。

目次はこちら→「序章:言葉はメディアか、はたまたバリアか」「第1章:言葉のやりとりはなぜ不確かなのか」「第2章:記憶の外部化と言葉の一人歩き」「第3章:コミュニケーションの二つの方向性」「第4章:言葉の役割を捉え直す」「第5章:「言葉のあいだ」を行き来する」「終章:言葉とは何であり、どこにあるのか」。
ちょっと理解するのにしんどい箇所もなくはないけれど、いろいろと考えさせられます。

なかでも自分も気をつけなくちゃ! と深く考えさせられたのは「第4章」のなかで論じられている“いつも「すごい」で片づけることの何が問題なのか”の項です。なんでもかんでも「すごい」としか表現しないでいると、思考が平板で単純なものになってしまっているというのです!
これを読んで思い出したのはもう10年以上前、帰宅の電車内でライブ終わりとおぼしき数人が乗車してきた時のこと。彼らは下車するまでの10分ほどの間ずっと「やばかったね!」「すっげ~やばい!」と「やばい」を連発。とても興奮していて、そのライブが最高のものだったのだろうなということは伝わってきたけれど、何がどうよかったのかはさっぱり???というできごとがありました。まあ、彼らからすれば別にわたしに話そうとしていたわけではないからいいっていえばいいのですが(笑)。
今でもそのときのことを覚えているくらい、なんだか衝撃的だった。
仲間内では往々にして、こんなことはありそうですが、きちんと言語化することの大切さを感じました。

また巻末には詳細なブックガイドを付しています。さらに思考を深めたい人には参考になるでしょう。
著者は『言葉の魂の哲学』(講談社選書メチエ)で第41回サントリー学芸賞を受賞しています。 (す)

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