クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『人間は料理をする生きものだ』
森枝卓士 文・写真
福音館書店 刊
2024年3月15日 発行
1540円(税込)
40ページ
対象:小学校中学年から
動物はすごい。でも料理をする人間もすごい!
まず単刀直入なタイトルに目を奪われました。そして「確かに、そうだなあ」としみじみ思いました。人間は料理をして、そのままでは食べられないものでも食べられるようにする。そうやって生きている。
そのさまを詳しく書いているのが本書です。
ところで、動物たちはすごいです! 固い肉をかみ切れる歯をもつライオンや、筋ばった牧草をよく噛んで複数の胃で消化する牛など、食べ物を食べられるように体を順応させています。人間の場合は手間をかけ、道具を使って「料理」をして、いろんなものを食べられるようにしているのです。
食べるーー毎日、何気なくそして誰もがする行為の背景にある事象を可視化しています。「とってくる」「育てる」「買ってくる」「切る」「擦る」「潰す」「挽く」「焼く」「煮る」「茹でる」等々。でも料理をするからこそ、肉だけでなく、草だけでなく、食べられるものの幅が広がっている。豊かな食文化があるのですね。
それからとくに深く感じ入ったのがラストに書かれた言葉。人間は食べるときに大切にしていることがある、ということ。それは何かわかりますか? 「いっしょに食べる」ことだというのです。動物はいっしょに食べているように見えても、同じ場所にいるだけで勝手にそれぞれが食べているだけ。でも人間は家族や仲間と分けあっていっしょに食べる。なるほどなあ。
現代はコンビニなどで簡単に食べ物を入手できるからこそ今一度、食べること、料理をすることって何かを考えることは大事ですね。そのきっかけになる1冊です。 (す)
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