クリーンヒット⚾ フィクション
『ロザリーのひみつの指令』
ティモテ・ド・フォンベル 作
イザベル・アルスノー 絵
杉田七重 訳
あかね書房 刊
2022年10月 発行
定価1430円(税込)
63ページ
対象:小学校高学年以上

真実をのぞんだ少女のすがたをえがく、悲しみによりそう物語。

「あたしにはひみつがある。」という一文から始まるこの物語は、5歳半の女の子ロザリーの一人語りで進みます。
時代は1916年、第1次世界大戦の真最中です。彼女のお父さんは戦争に行き、お母さんは工場で働き、その間ロザリーは小学校で年上の男の子たちに混じって時間を過ごしていますが、何事か秘密の任務を自らに課しているようです。それは一体何なのでしょうか。そして、ロザリーがどうしても知りたいと願ったことはーー?

5歳半といえば、今ならまだ幼稚園に通うような年齢です。でも戦争というのは、子どもが子どもらしくいる時間を奪ってしまうのだと、悲しく辛い気持ちが込み上げます。一方で大人顔負けのロザリーの強い信念に触れると「子どもを侮ってはいけない」とも思います。大きくなっていろいろなこと(戦争のこと、父の手紙の内容)がもっとよくわかるようになった時、ロザリーはこの出来事をどのように受け止め直すのでしょうか……。

63ページの短い物語ですが、決して幼い子向けの本ではありません。このお話が語ろうとしているものを受け止められる年齢になった子どもたちに、感じたり考えたりしながら読んでほしい作品です。(か)

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