クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『SNSの哲学』

戸谷洋志 著
創元社 刊
2023年4月 発行
定価1540円(税込)
141ページ
対象:中学生から

あなたのなかに眠る「考えたい」という好奇心を呼び起こそう!

本書はヘーゲル、ハイデガー、ベルクソンなどの哲学者の考えを交えながらSNSを「哲学的」に考える1冊です。
SNSによって成り立つ日常がどのような「意味」を持つのか、さらに、SNSに惹かれる自分は「何者」なのかを探ります。

著者である戸谷洋志さんがこの本を通して読者に考えてほしいことは「SNSをどう使うべきか」ではなく、「SNSを使っているあなた自身が何者なのか」という問い。

戸谷さんによれば「自分が何者であるかを考え思考を深めていったとき、あなたは自分自身ともっと親しくなれる」そう。自分と親しくなれるって、なんだか素敵なことだと思いませんか?

この1冊には「SNSからは離れなさい」というお説教のようなことは書かれていませんし、読後のSNSとの向き合い方は読者自身に委ねられます。 興味深かったのは、「SNSに偶然はあるのか?」について書かれた第4章。
ここでは、アルゴリズム(コンピューターで行われる計算や処理の手順のこと)を通して情報に接することにより、SNS上において偶然の出会いが起こらなくなることを指摘しています。
つまり、自分が見たいものだけを見、知りたいことだけを知ろうとする限り、私たちの視野はどんどん狭くなってしまうというのです。

そこで、戸谷さんは「偶然性」をもたらす例のひとつに”リアル書店”を挙げていて、そのお話にとても共感しました。
もしかしたら、これを読んでくださっているあなたも、同じ体験をされたことがあるかもしれません。さて、書店に行くこととSNSはどう繋がってくるのでしょう?

特に学生にはこの章をよく読んでいただきたいです。
あなたの未来への可能性が開けるかもしれませんよ!(み)

 

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