クリーンヒットノンフィクション
『日本のいきものビジュアルガイド はっけん!カナヘビ』
竹中 践 編著
関 慎太郎 写真
緑書房 刊
2024年4月 発行
2310円(税込)
159ページ
対象:中学生以上
あなたも、カナヘビの虜に。
本書は、カナヘビの研究に長年たずさわっている編著者の竹中践氏が、日本中のフィールド調査から得られた膨大な知見をもとに、カナヘビに関する内容を詳細にまとめた1冊です。
カナヘビの正式な名前をご存知ですか。正しくは「ニホンカナヘビ」といい、トカゲの仲間です。カナヘビはアジア、ヨーロッパ、アフリカに分布していて、カナヘビ科に分類されますが、種類はなんと、世界で373種いるそう。本書の「カナヘビ図鑑」では、14ページにわたり、日本のカナヘビ属の5種とコモチカナヘビ属の1種、外国産のカナヘビ科の6種を写真と共に詳しく解説してくれます。
もし、身近なところでカナヘビを見つけられたら「ニホンカナヘビの春夏秋冬」というページを開くと、季節の変化のなかで、カナヘビが「どこで」「どのように」生活をしているのかを知ることができて、楽しいです。
「カナヘビQ&A」では、「どうして爬虫類は脱皮しながら大きくなるのか」や「どうして尾が切れても血が出ないのか」などについて、カナヘビの不思議に迫ることができますよ。
もし、カナヘビを飼育したい方がいたら、飼育するときの注意についても細かく記されているのでご確認を。例えば、ケージのこと、ライト、エサの準備、掃除のこと、冬眠のこと、繁殖や病気に関することまでしっかり把握することができるので、安心して飼育することができますね。
興味深かったのは、多様なカナヘビの呼び方が、地方によって特有の方言名が100以上あるといわれていること。その理由は過去の交通事情にあり、人や情報の行き来がむずかしかったころに、それぞれの地域で方言名が生まれたと考えられているそうです。カナヘビの方言名の分布図も載っているので、お住まいの地域の方言名はなにか、探してみてください。
巻末には、用語解説もあるので、この1冊があれば、カナヘビのことが知り尽くせることでしょう。夏休みの自由研究のテーマにも、いかがですか。(み)
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