クリーンヒット ノンフィクション
『ココロさえずる野鳥ノート 』
mililie 著
YUKI イラスト・文
中嶌真平 文
文一総合出版 刊
2024年4月 発行
1980円(税込)
167ページ
対象:中学生以上
鳥は地球の健康を測る優れたバロメーター
5月10日から5月16日までの1週間は「愛鳥週間」でした。野鳥愛護のために設けられた「愛鳥週間」に因み、野鳥に関する新刊書籍を紹介します。
『鳥は地球の健康を測る優れたバロメーターである』といわれていることをご存知ですか。本書のエピローグで言葉を寄せている、ボッレ・ディ・マガディーノ自然保護区財団代表のニコラ・パトッキ氏によれば「野鳥は世界中に広く分布し、調査が比較的簡単で、環境の変化にとても敏感」であることと、世界中には多くの野鳥愛好家がいることから「鳥の生息数や生息域などの変化を注意深く観察していれば、地球が今どのような健康状態にあるか」がわかるそう。
現在、世界の鳥類の約半数の種が減少しており、その原因は「世界的な農業の拡大」「森林伐採」など、人間の活動が野鳥を圧迫しているためといわれています。繁殖地である裸の大地(裸地)が減少しているのも、その理由のひとつです。繁殖を阻害している原因としては、キャンプや水辺のレジャー、撮影などでカメラマンが繁殖地へ侵入することが例にあがっており、人間が楽しむ一方で苦しむ鳥がいることに、胸が痛みました。絶滅の危機にある鳥の現状を知ると、自分には何ができるだろうかと考えさせられます。でも、家の近くや通学路、通勤途中によく鳴いている鳥は何だろうと気にすること、気になったら調べてみることも、鳥を救う大きな一歩ではないでしょうか。鳥の魅力に気づかされれば、鳥を愛する一人となり、鳥の未来を守ろうと、思いを寄せることができます。
本書は「鳥好きのリアルな視点」により、鳥たちの可愛さや野鳥観察の楽しさ、鳥を知る喜びを伝えようと、合計100種の野鳥たちが登場する”野鳥ノート”で、ページを開けば、手書きの文字と、写実的かつ温かみのあるイラストがページいっぱいに広がります。表紙カバーをとると、まるでノートのようなデザインで魅力的。鳥が好きな方は、目を輝かせながらページをめくることでしょう。QRコードの先では鳥の声を聴くこともできるので、声の特徴を頼りに鳥の種類を探すのも楽しそうです。
水辺をよく歩き回るという 鷭(バン)の威嚇がかわいいこと、浜辺のプチアイドルである白千鳥(シロチドリ)は演技派であることなど、知られざる鳥の一面をひとつ知るだけでも、途端に鳥の虜になります。種は違っていても、同じ地球に生きる仲間であること胸に刻みたいです。
(み)
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