新しい【YAフェア】のお知らせです。

ここ数年、盛り上がりを見せている台湾や韓国の文学界。
ミリオンセラーとなり世界各国で翻訳されて話題の『82年生まれ、キム・ジヨン』(筑摩書房)をはじめとし、社会や人生において女性が陥る困難や差別を提起した作品から、10代の瑞々しい感性について綴った作品まで幅広いテーマの文学が誕生し人々の支持を集めています。
日本語の翻訳もぐんと増え、読んでいると自分の境遇とリンクする部分に
思わず「そういうことある!」と叫びたくなったり、ハラハラと涙をこぼしたり……。同じアジア圏とあって文化や習慣、時代背景が理解しやすく、書き手の個性がキラリと光る作品が多くあります。

そこで今回はそんな台湾・韓国文学の中から選りすぐりを集めたフェアを行っています。

題して「2021 Summer YAフェア 台湾・韓国文学がアツイ!!

みなさん、お隣の国のことをどれくらい知っていますか?

平台からいくつかご紹介しましょう。
まずは小説から。
・『アーモンド』(祥伝社/ソン・ウンピョン 著/矢島暁子 訳/定価1,760円)―韓国文学―
アーモンド形の偏桃体が先天的に小さいために感情がなく、また人の感情も理解できないユンジェ。そんな彼に祖母と母は「喜怒哀楽」を暗記させ、「普通の子ども」として生きていかれるよう育てますが、ある事件でユンジュは祖母と母を失い一人残されます。感情のない孤独な彼の心を変えたのは、上の階でパン屋を営む店主のシム博士と同級生の少女ドラ、そして不良少年ゴニでした。次第に芽生える感情に彼の世界は急速に色づいていくのですが……。
昨年の本屋大賞翻訳小説部門で1位となった話題作。現代社会の抱えるひずみと懸命に生きる人の希望を見事に描いており、一読の価値があります。

『自転車泥棒』(文藝春秋/呉明益 著/天野健太郎 訳/定価2,310円)―台湾文学―
20年前、自転車と共に失踪した父。その行方を追ううちに失踪事件の鍵となる「幸福」自転車を見つけ出した「ぼく」は、父の人生をはじめとする家族史を振り返ることに。台北から遠くビルマの森へ――。それは同時に、台湾における自転車の歴史を辿る物語でもありました。
自転車という「もの」を軸に壮大なスケールで綴られる本書は438ページと読み応えがありますが、国や時空を超えて旅をするような気分を味わえます。さらに、様々な種類の自転車が登場するので、自転車マニアにイチオシの1冊。2015年に台湾国内で最優秀賞を受賞し、2018年にはイギリスの国際ブッカー賞にノミネートされるなど国際的にも注目を集める書き手の作品です。同じ作者のノスタルジックな連作短編集『歩道橋の魔術師』(白水社/定価2,210円)とあわせてどうぞ。

そのほか台湾文学コーナーには温又柔さんの作品から、台湾生まれ日本育ちの主人公が言語という狭間で奮闘する『来福の家』(白水社/ 著/定価1,540円)、母娘が自分のアイデンティティについて問う長編小説『魯肉飯のさえずり』(中央公論新社/定価1,650円)、エッセイ集『「国語」から旅立って』(新曜社/定価1,430円)などがあります。
ノンフィクションでは、台湾IT担当大臣オードリー・タンが日本の若者に向けて語ったオードリー・タン 自由への手紙』(講談社/定価1,540円)、池澤夏樹さんの娘さんで文筆家でもある池澤春菜さんが案内する『台湾市場あちこち散歩』(KADOKAWA/定価1,650円)、日本で手に入る食材で作る『台湾スープ』(誠文堂新光社/定価1,540円 ※とっても手軽に作れるうえに夏バテや元気がない時にも栄養がとれて◎!)などもおすすめ。

 

一方の韓国文学コーナーでは、『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者チョ・ナムジュの作品を含む7名の小説を収録した『ヒョンナムオッパへ』(白水社/定価1,980円)、チョ・ナムジュの最新小説『ミカンの味』(朝日新聞出版/定価1,760円)、韓国で発売と共に売り上げを伸ばしベストセラーとなった短篇集『わたしに無害な人』(亜紀書房/定価1,760円)などを並べています。
もう1冊推薦したいのが、料理研究家コウケンテツさんのエッセイ集『本当はごはんをつくるのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(ぴあ株式会社/定価1,540円)。料理が好きでもどうしても気分が乗らない日、作れない日ってありますよね。あなたが悪いわけではないから、そんな時は「ねばならない」をやめてみようと優しく寄り添ってくれる内容です。巻末には料理が楽になる実用レシピも掲載されており、ふっと肩の力が抜けて心が軽くなりますよ。

さてさて、最後におまけのご案内を。
こちらの平台から書籍をお買いの方に、暑い夏を読書で一緒に乗り切ろうとの思いから「トウガラしおり」をプレゼント♪(青トウガラシ、赤トウガラシ、どちらがもらえるかはお楽しみ。)「おだんごしおり」に続くオリジナルしおり第2弾です!
ぜひ集めてくださいね。

※書籍の価格はすべて定価(税込)です。

★ご注文はお電話、Fax、メールにて承ります。
売場直通電話 03-3563-0730
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