これらの書籍は過去に村岡花子訳で出版されたことがありながら、今は絶版になってしまっている本たちです。エレノア・ポーターの『少女パレアナ』や、モンゴメリの『パットお嬢さん』は、昔読んだ村岡花子訳が忘れられない!という方もたくさんいらっしゃることでしょうね…。でも、こうして今も私たちがこれらの作品を(違う翻訳者であれ)読むことができるのは、村岡花子さんが日本に紹介してくださったからに他なりません。そう思うと、本当に「花子さん、ありがとう!」という気持ちになります。
それにしても、どうして花子さんはシリーズの続編(『少女ポリアンナ』からではなく『ポリアンナの青春』から――同じく、『銀の森のパット』からではなく『パットの夢』=『パットお嬢さん』)から翻訳していったのかしら?と疑問に思っていたのですが、資料を読んでいるうちに、もしかして…とある想像が浮かびました。山梨英和で先生をされていた頃、担任をした生徒さんたちに読ませるよい物語がないことを残念に思っていましたよね。もしかしたら、彼女たちが読むのにちょうどいい年齢設定(10代後半)なのがいずれもシリーズの2巻目だったからでは…?想像ですが、いずれも花子さんの少女たちへの熱い思いが結した名訳として、たくさんの方に愛されたことは間違いありません。村岡花子訳は手に入りませんが、ぜひまだ現役のこれらの本で花子さんが紹介しようとした「良質な家庭文学」を楽しんでいただきたいと思っています。
『少女ポリアンナ』『ポリアンナの青春』菊島伊久栄訳/偕成社文庫/各700円+税
★続編まで手に入るのは、現在偕成社文庫のみです。
『銀の森のパット』『パットの夢』谷口由美子訳/角川文庫/各952円+税
『そばかすの少年』鹿田昌美訳/光文社古典新訳文庫/895円+税
★姉妹編の『リンバロストの乙女』も入れてほしいな~。