みなさん、こんにちは!今日は前回の予告通り、この展覧会の中でもとびきりの“お宝”展示物を公開しちゃいます。
ボクはただ今『けしつぶクッキー』を読んでるところ。小さな男の子アンドルーシクの、毎日のちょっとした出来事を綴った楽しいお話集。昔ペンギン社から出ていたものが、去年童話館出版から復刊になったんだけど、皆さん知ってましたか?
翻訳者の渡辺茂男さんが巻末に書いている解説を読むと、今回の展覧会になぜこの作品が出ているのかわかるし、その理由に「ほぉー!」と感心してしまいました。なるほど、そういう理由で傑作と呼ばれるのか!ボクも納得です。(解説は大人の方必読)
あぁ、楽しかった!ようやく読み終わったので9階にやってきました。今回の展覧会には、ほら!この『けしつぶクッキー』の原書も出ています。キャプションには「当時、子どものいる家庭には必ずあった、といわれるほど人気のあった作品」と書いてあるよ。すごーい。ピーターシャム夫妻の本は、『けしつぶクッキー』以外にもいくつか展示されています。
そして、これが噂の“お宝”―島多代さん所蔵のピーターシャムの原画です!原画だよ!!これは『けしつぶクッキー』の原画で(日本語版169ページ)、墨の輪郭線と色とが描き分けられているのでした。思わず興奮!
でも原画はこれだけじゃないんです。「ミキ」という絵本の表紙原画も出てます。きれいだよーー。「ミキ」は、アメリカの男の子がハンガリー(ミスカさんの故郷だね)を旅するお話。アメリカに帰る時には“けしつぶ入りの細長いケーキ”をいっぱいもらうんだって!けしつぶクッキー(原題:poppy seed cakes)は、きっとハンガリーの人たちにとって“お母さんの作るおやつ”みたいなものなんだろうね。
原画はまだまだ全部で9点あるよ。日本には全然紹介されていない本のものばかりだけれど、色も線も本当に丁寧できれい。残念なことに、出典がわからない絵もあるみだいだけど、とにかくこれは一見の価値アリですっ!
というわけで、今回は特別出品のモウド&ミスカ・ピーターシャムの原画をご紹介しました!
『けしつぶクッキー』(童話館出版/2100円+税)は、渡辺茂男さんが「幼年文学のリアリズムの分野で、古典的作品となった名作(ベスコフの『ペレのあたらしいふく』や、フラックの『アンガスとあひる』など)の、先駆けになった作品」と位置付けています。難しいことは分からないけれど、このお話も今回展示されている他の絵本と同じに、今から90年も前(1924年)に出たとは思えないくらい、面白いです。読んだことのない人は、ぜひ今買って読んでね~。買わないとなくなっちゃうかもしれないよ!
では、次回はこの展示のもう一つの目玉、ロシアの絵本のご紹介を2回に分けて行いまーす。どうぞお楽しみに!