4月から行っている店内ミニフェア“未来のために、今 考える”、6月~7月にかけては、新しい2つのテーマを設けました。一つは“新しい戦争について”、もう一つは“戦争と子ども”です。
日本は太平洋戦争が終結した後、幸いなことに戦争をせずにこの70年間を過ごすことができましたが、世界各地では様々な紛争・戦争が続いています。子どもの本の中にも、それらを取り上げたものがいくつもあり、私たちの知らない戦争を、こういった書籍から知ることができます。
ロバート・ウェルトールの『弟の戦争』は、湾岸戦争を扱った異色の作品。エリザベス・レアードの『戦場のオレンジ』は、今から30年ほど前におこった中東のレバノン内戦を題材にした10歳の少女の物語。そしてアリス・ウォーカーの『なぜ戦争はよくないか』は、感傷的にならずにその醜さと恐ろしさを子どもにわかるように書かれた絵本として、大人にも響きます。
もうひとつのテーマは“戦争と子ども”。大人が始めた戦争に巻き込まれて辛い思いをするのは、いつの時代も子どもたちです。今から70年前の戦争でも、そして今世界中で起こっている戦争でも、子どもたちが犠牲になっていることを忘れてはいけません。
『戦争時代の子どもたち 瀬田国民学校五年智組の学級日誌より』(岩波書店/940円+税)では、70年前の戦時下の暮らしが子どもの目線で綴られます。『テレジンの小さな画家たち』(偕成社/1500円+税)は、ナチスの強制収容所で4000枚にも及ぶ絵を描き、殺された子どもたちの記録です。『戦争がなかったら』(ポプラ社/1500円+税)では、西アフリカのリベリアで内戦に巻き込まれた3人の子どもたちの10年を追ったもの―著者の高橋邦典さんは「この本をとおして…(中略)戦争に行かずにすんでいる自分のくらしをあらためて見つめ直すきっかけになれば、とぼくは願っています」と、あとがきで書かれています。
そして、≪文学で読む戦争≫の今月の1冊は、アニカ・トールの『海の島』(ステフィとネッリの物語・第1巻/新宿書房/2000円+税)と、『ジュリエッタ荘の幽霊』(小峰書店/1500円+税)をご紹介しています。スウェーデンとイタリアが舞台の物語。ぜひお読みください!