児童文学者で翻訳家の神宮輝夫さんが8月4日にお亡くなりになりました。ニュースを聞いてショックを受けている方も多くいらっしゃることでしょう。ナルニアのスタッフも、それぞれに子どもの頃からの愛読書の多くが神宮先生の翻訳書だったこともあり、本当に悲しく残念な思いです。「ありがとうございました」の気持ちを込めて、店内に追悼コーナーを作りました。
神宮先生のお仕事で最も世に知られた作品は恐らく、センダックの『かいじゅうたちのいるところ』だと思います。1975年の出版以来46年(もうすぐ半世紀!)、日本の子どもたちに支持され続けているマックスの大冒険は、これから先も変わらずに子どもの心を開放する絵本として愛されていくことでしょう。
絵本から幼年童話、文学作品まで幅広いお仕事で英米の素晴らしい作品を日本に紹介してくださった神宮先生ですが、「ランサム・サーガ」ほど熱烈なファンがいる作品を私は他に知りません。このシリーズに出会って人生が変わった方もいるほど、その魅力は子どものみならず大人も虜にしてしまいます。主人公の冒険がそのまま自身の体験となって深く心に刻まれた読者のなんと幸せなこと! 子どもの頃に出会いたかったと思いますが、大人でも十分に心を躍らせることのできる作品です。コロナ禍で旅行やキャンプも難しいこの夏、読者とランサム・サーガの新たな出会いが数多くあるようにと願います。
と言いつつ、実は悲しいお知らせが……。2016年に全12巻が少年文庫に入ったランサム・サーガですが、早くも品切れの巻が出始めています。どんなにいい本でも売れなければなくなっていく運命で、そのサイクルは年々早まっているようです。次の世代にランサム・サーガを繋いでいくために、皆さんぜひ身近な方へシリーズの魅力を伝えてくださいませ。
★品切れの巻:⑤『オオバンクラブ物語(上下)』、⑧『ひみつの海(上下)』、⑨『六人の探偵たち(上下)』、⑦『海へ出るつもりじゃなかった(下)』
ナルニア国の追悼平台には、神宮先生直筆の色紙が掲示されています。これは少年文庫完結記念のイベントに合わせて、先生にお気に入りの一文(もっと長いけれど……)を書いていただいたものです。さて、これは『ツバメ号とアマゾン号』のどの場面でしょうか?
★神宮輝夫さんのご本をお買い上げの方でご希望の方には、2007年6月にナルニア国で開催された神宮輝夫氏講演会(“アーサー・ランサムと『物語』の世界~幸せな子どもの文学の時代”)の抄録が載ったナルニア国だより(85号/2007年7月号)を差し上げます。スタッフにお声をおかけください。
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