現在、ナルニアホールのガラスケースで原画の一部を展示している『フェドーラばあさんおおよわり』についてのお知らせです。この作品はロシアの児童文学作家コルネイ・チュコフスキーの文にオリシヴァングが絵を付けたものですが、リズミカルでテンポのよい言葉は詩のような感じで、声に出して読むと一層楽しさが増します。
物語は突然、ふるいや木おけ、ほうきやシャベルが逃げ出していくところから始まります。火かきぼうもナイフもアイロンもポットも、一体何から逃げているの? 逃げていたのはひどい扱いを受けていたフェドーラばあさんの家から。「やってられない、もういやだ!」と家の窓まで逃げ出して、残ったのはゴキブリ一家だけ……という哀れな展開。でもね、心を入れ替えたフェドーラばあさんの言葉に、逃げ出したモノたちも「そういうことなら もういちど しんじてみるさ ばあさんを!」となって、最後はハッピーエンド✨ 本当に楽しいお話です。ところが何と、この本が出版社在庫僅少になってしまっている……という残念なお知らせをしなくてはなりません。今ナルニア国にある40冊がなくなると、恐らく重版未定となる可能性が高い! このユニークで幸せな作品が今しか買えないというのはとても寂しいですが、この機会に一人でも多くの方に手に取っていただければ嬉しいです。

 

原画は点数が多いので全部一度には展示しきれません。今回は特別に前期・後期で展示替えを行います。今見せていない場面は、10/1以降に会期終了までご覧いただけますので、ぜひこの期間に2回!ナルニア国へお運びくださいませ。

コルネイ・チュコフスキー(1882~1969)はソ連時代から今に至るまで、数世代にわたって読み継がれているロシアの著名な作家です。体制が崩壊した時代にさえ出版が途絶えることがなかったというのですから、どれだけこの作家がロシアの人々に愛されてきたかがわかります。私たちも「幼い読者の想像力を刺激するダイナミックなイメージに満ちた作品群」を、心を開いて楽しみましょう!

コルネイ・チュコフスキーの絵本は、偕成社から他にも4点出版されています。どの本も思わず笑ってしまうようなユーモアにあふれています。子どもが好きというのもよく分かる! はちゃめちゃでありながらどこか心地よい、心を開放するようなにぎやかな大騒ぎを、ぜひ声に出して読んでみてください。

『フェドーラばあさんおおよわり』V.オリシヴァング 絵 ※在庫僅少、40冊限定!
『めっちゃくちゃのおおさわぎ』F.ヤールブソヴァ 絵
『ロシアのわらべうた』Y.バスネツォフ 絵 ※出版社在庫わずか
『あらうよ バシャザブーン』G.アレクサンドロヴァ 絵 ※出版社在庫わずか
『でんわ』S.オストローフ 絵 ※出版社在庫わずか
いずれも 田中潔 訳/偕成社 1540円(税込)

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