honkodomootona紀伊国屋書店から1957年に刊行され、既に60年近く読み継がれてきた児童文学論の古典的名著、ポール・アザールの『本・子ども・大人』(2730円)が復刊されました。15年近く前、この仕事に初めて就いた時、上司から「読んでおくように」といわれたのがこの本とリリアン・スミスの『児童文学論』でした。当時の私にはとても難しく、内容がすっかり分かったわけではないのですが、子どもの本ってすごいとぼんやり感じたものです。裏表紙にある石井桃子さんの本書の評では「…アザールは世界中の子どもを可能性いっぱいの人間と見、かれらが本質を見ぬき、本を選択してきた事実を認め、その力にふさわしい本を与えよと主張する。」と書かれています。子どもの本とは何かを考える時に、決して欠かすことのできない本が再び手に入るようになったことは、本当に嬉しいことです。これからもずっと読み継がれていくに違いない、普遍的な真実をとらえた1冊を、ぜひ多くの方にお勧めしたいと思います。