douwakan
このタイトルを聞いてすぐに「あぁ!」と思った方がいらしたら、かなり年季の入った児童文学ファンとお見受けします。というのも、ハンス・ユルゲン・ペライの『過去への扉をあけろ』は昔、佑学社という出版社から出ていたもので(佑学社はいい本を出していたのですが、だいぶ前に倒産してしまいました)、長い間品切れになっていたのです。西ドイツ(これも分からない人がいるかも!?)の中学生たちが、自分たちの町で第二次大戦中に起こった出来事について調べていくと、意外な事実が判明する…といった内容のもので、かなり硬派な小説です。蓋をしてしまいたい、なかったことにしてしまいたい過去にどうやって向き合い、それを未来への教訓として記録・記憶するかという、私たち自身も今抱えている問題と繋がってくる作品ですので、地味な本ですがぜひご存じない方には読んでいただきたい!と思います。この本と合わせて、昨年出版された『そこに僕らは居合わせた―語り伝える、ナチス・ドイツ下の記憶』(グートルン・パウゼヴァング作/みすず書房/2625円)もとても示唆に富んだ素晴らしい本です。どうぞご一読ください!
★ちなみに『過去への扉をあけろ』を復刊してくれたのは童話館出版です。過去に出版された良い本を拾って出してくださるなかなかいい出版社です(時々、翻訳者が変わってがっかりすることもありますが…)