クリーンヒット ⚾ フィクション
『トラブルメーカーのブルドッグ? 犬を飼ったら大さわぎ!2』
トゥイ・T・サザーランド 作
相良倫子 訳
徳間書店 刊
2024年12月 発行
1760円(税込)
224ページ
対象:小学校中学年から

もう! ミートボールったら、いうことをきいてくれない!

11歳のエリックはちょっと内気な男の子。家では5歳年上の双子のお姉ちゃんにいじめられ、お姉ちゃんの飼い猫たちにも目の敵にされていて、小さくなって暮らしています。友だちが次々と犬を飼い始める中、エリックも自分の味方になってくれるかっこいい犬が飼いたいと思っていました。
そんな雨のある日、お母さんが獣医を務める病院の前に1匹のブルドッグが捨てられます。ミートボールという名前のこの犬は、しょぼくれた姿で茶色の大きな目を潤ませてエリックを見つめてきました。エリックはかわいそうな境遇のミートボールを見捨てられず、一晩だけ家に連れ帰って面倒をみることにしました。大きな体で人懐こいミートボールはとにかくマイペース。エリックを怖がらせるいじのわるい猫たちにも動じる様子はありません。こんな風に、思いがけない形で家族に加わったブルドッグのおかげで、エリックの日常はとんでもなくかき乱されることになるのです。

「犬が飼いたい」とは思っていたけれど、想像していたのは友人が飼っているゴールデンレトリーバーのような犬だったエリックは、太っていてブサイク、よだれを垂らして、鼻くそがつまっているみたいな音で息をする、イビキの大きなブルドッグを飼いたいのか、自分の気持ちがわかりません。その上ミートボールは、エリックが片思いをしている女の子の家の前で座り込んでみたり、公園に連れて行ってもほかの犬のようにボール遊びをしようとせず、ちっともエリックの期待に応えてくれないのです。暑さに弱いので水を切らしてはいけないとか、顔のしわの間を毎日拭いてやらなくてはいけないなど世話も大変! でも、目を輝かせてお帰りのあいさつをしてくれたり、落ち込んでいればピンクの大きな舌でベロンベロンと顔をなめてきたりするミートボールのことを、エリックはだんだん好きになっていきます。ミートボールの登場で、シャイなエリックは自分でも思いもしなかった変化を遂げていくのです。

かわいくはないけれどとても気立てのいいミートボールは、きっとこれからもエリックのよき友人でいてくれることでしょう。大切なのは見た目や世間の評判(自分がどう思われるか)ではなく、本当に素直なお互いの関係性なのだと、ユーモラスなお話を通して感じさせてくれます。(か)

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