クリーンヒット ⚾ ノンフィクション
『翻訳をジェンダーする』
古川弘子 著
筑摩書房 刊
2024年9月10日 発行
990円(税込)
235ページ
対象:高校生から
翻訳と社会とわたしたちの密接な関係を読みとき、性差別をなくすための翻訳を考える。
タイトルの「翻訳をジェンダーする」って、どういうこと? と、まずは疑問符が頭に浮かびました。多くの人がたぶん、そうだと思います。でも、強い興味を持ちました。
帯の文句にもありますが“翻訳小説は「女らしい」文末詞の割合が高い”という具体例から論に入ります。「~だわ」とか「~なの」と普段の会話ではあまり使わないことばが、翻訳小説では多用されているというのです。なるほど。確かにそうかもしれない、と思いました。
なぜリアルなことば遣いと翻訳では違うのか? その疑問から古今東西の翻訳小説の「女ことば」を分析します。
こんなふうに文学を見たことがないので、ちょっと驚きましたが、その分とても新鮮でした。そのことばには社会が反映されているという指摘は深くうなずけます。
わかりやすい例としては「ハラスメント」ということばです。ことばがないために実態が長く埋もれていた。今や、ハラスメントという文言を聞かない日はないと言っても過言ではないくらいだというのに!
「第1章:小説の女たちはどう翻訳されてきたのか」「第2章:女たちのために自分たちで翻訳する」「第3章:これからのために翻訳ができること」の章立てに添って、翻訳されたものが社会に影響を与えることを考え抜きます。個人的には特に「第2章」の内容に衝撃を受けました!
少し難しい内容ですが、若い人たちこそ手にしてこれからの人生に役立ててほしいものです。普段使っていることばを考えるきっかけにもなるでしょう。 (す)
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