空色勾玉

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『空色勾玉 新装版』
荻原規子 著
佐竹美保 画
徳間書店 刊
2024年11月15日 発行
1100円(税込)
546ページ
対象:小学校高学年から

古代日本を舞台に、絢爛豪華に織り上げられた日本のファンタジー最大の話題作!

何をいまさら、と言われそうな気もしますが(だって、著者のデビュー作であって1988年の刊行ですもん!)、この版は新刊なのでご紹介したいと思います。当然(?)、わたしは一番最初の福武書店版を買って読んでいます。それでもこの度、新装版の文庫を改めて読んでみて、とても新鮮な気持ちでこの世界に入り込めたのでした。何度も涙腺が緩んで仕方がなかった…。最低10回は読んでいるのに。
まだ未読の方があれば、ぜひとも手にしてみてほしい1冊。自信をもっておすすめできます!

話はというと、闇の姫巫女として生まれながらも、光を愛する狭也(さや)という少女が、「大蛇の剣(おろちのつるぎ)」の主である稚羽矢(ちはや)と出会うことで翻弄される運命を描いたファンタジーです。稚羽矢と出会うまでが、ちょっと辛抱を要するかもしれませんが、そこからは展開が早いです。ぐんぐん読ませます。
それでいて、文章はとても繊細で風景描写などは真に迫ってくるかんじ。それはこの日本を舞台にしているので、空気感とかリアルに想像できるのだといえます。英米などの海外作品では、こうはいかないです。肌感覚でわかるというか、「あ、知ってる」と思える瞬間があるのは、素直に嬉しいです。

はじめて読んだとき、月代王(つきしろのおおきみ)の登場場面にメロメロになったものですが、今回も打ちのめされました。かっこいいのよ!
名前の通り、月の冴え冴えした雰囲気があるのですが、それがいい。最初に読んだ本では挿絵は全くありませんでしたが、ありありと情景がイメージできました。声まで聞こえるかんじ。それは佐竹さんのイラストがある本書でも変わりません。

以前の文庫版と同じく、本書も巻末に中沢新一氏の解説を付しています。この解説もとてもいい! 『空色勾玉』を「光と闇」のことばを使わずにこの世界観を見事に評しています。ここも忘れずに読んで欲しいです。

これを機に新たな読み手が増えることを願います。
ちなみに著者のHPでは、今回の新装版について仔細に紹介されているので、きになる方はチェックしてみてください。 (す)

*今後『白鳥異伝』『薄紅天女』『風神秘抄』『あまねく神竜住まう国』も順次、文庫化されるようです。乞うご期待! というか、わたしが楽しみでならない♪

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